▲▼亮さんと春市くんと幼馴染 ※亮さん(高3)→ヒロイン(高2)→春市(高1) 私の幼馴染は2人。春市とそれから亮介。小さな頃からいつも3人で遊んでたっけ。 男の子2人が野球を始めてからも私は常に引っ付いてよく球を投げさせられていた。いよいよ私なんかじゃ相手にならなくなってからも、少し寂しい思いはしたけど2人を見ていたくて保護者に混ざって試合の応援をした。 そして、高校生になって―。 「やーっと3人揃ったよ」 「なまえは春市が青道に来るの、今か今かと待ち構えてたもんね」 「うんうん。そうだよ、ずっと待ってたんだよ」 「え、そうだったんだ」 青心寮に春市がやって来る記念すべき朝、亮介と私は揃って春市を出迎えた。亮介の言うように、春市が来るのを私はずっと待っていた。 何を隠そう、私は春市のことが好きだ。人としてはもちろん、異性として。 きっかけはよく覚えていないが、時期だけははっきりと覚えている。小さい頃は弱虫で泣いてばかりだった春市が人前で泣かなくなった頃。 「…なまえ」 「えっ、何?」 ぼーっと喜びに浸っていたが亮介に声をかけられて我に返る。やだ今私絶対笑ってた。 「気持ち悪い」 「ごめん」 「…そんなに春市が好きなんだ?」 「うん、だって可愛いし!かっこいいし!」 何か矛盾してるけど、春市はこの二つが大きな魅力だと思うんだ!と熱弁すると、実の兄に向ってやめてと言われてしまった。 「お兄さんは、反対ですか?私と弟さん」 「反対だね」 「そんな即答しなくても…!」 と、丁度その時、一度寮の部屋を覗いてくると言った春市が戻ってきた。 「何の話?」 「春市には一生教えない」 「ええ!」 「…亮介、何か不機嫌?」 「別に」 別になんて言いながら、亮介は私たちと目も合わせてくれない。悪ふざけが過ぎたのだろうか? 春市と顔を見合わせて首を傾げたけど、亮介の不機嫌の理由はわからなかった。 (20150426) back |