過保護な倉持と年下女の子

※謎の同棲。倉持→←←ヒロインで両片思い。

「だーから!髪はちゃんと乾かせって何回言ったらわかるんだ!」

「えー、先にアイス食べたいです…」

「ふざけんな、湯冷めするだろうが」

「ちょっとくらい平気ですよう」

お風呂上がり、タンクトップのまま熱気の籠った脱衣所から出ると、キッチンからひょっこり顔を覗かせた洋一さんに捕まってしまった。
毎度毎度、口うるさく髪をちゃんと乾かせだの暑かろうが服はちゃんろ着ろだの言ってくる洋一さん。オカンか。
そんな不満が顔にありありと浮かんでいたのか、きっと睨まれてしまった。

「ったく、仕方ねえから乾かしてやるよ」

「わーい!やったー!洋一さん大好き!」

「うるせえバカ」

「そんなこと言っちゃって、私の髪乾かすの好きなくせに」

「燃やすぞ」

「え!?」

結局こうして私の面倒を甲斐甲斐しく見てくれる洋一さんは優しい人だ。ちょっと怖いけど。
髪の毛を燃やされては困るので促されるままソファの下に座る。そしてそのままソファに腰掛けた洋一さんの足の間にすっぽりと収まった。
口では怖いことを言いながらも、髪の毛を梳く手はひどく優しい。そんなギャップにやられてしまいそう。もうやられてるけど。

「おい、終わったぞ」

「はっ…、寝てた」

「寝るのもいいけど、ちゃんと上着ろよ。乳首見えてる」

「うそっ!?」

「うそ」

「洋一さん!?」

「ブラもせず無防備な格好で異性の前に出てんじゃねえよ」

「………すみませんでした」

慌てて胸を庇うと洋一さんに思い切りデコピンされてしまった。だって、…暑いんだもん。異性の前とか、そういうの洋一さんが一番気にしてないくせにそんなこと言うなんて卑怯だ。

「なまえ、アイス食うんだろ。どれにするんだ?」

「あ!えっと、えっと、モナカのやつ!」

ごそごそと冷凍庫を漁る洋一さん。洋一さんもアイス食べるのかな?ソファに戻ってきた洋一さんの手には同じアイスが2つ。

「真似っこ…」

「これ美味いからな」

「………」

「何ビミョーに拗ねてんだ。まだあるから安心しろ」

「じゃあいいです」

「あ、その前にこれ」

洋一さんは自分が羽織っていたパーカーを脱いで私に手渡してきた。「風邪引かねえように」って、どこまで過保護なんだこの人は。

(20150412)

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