万太郎になっちゃったよ | ナノ


▼ 僕の後輩がおかしい:ジェイド

どうも僕はキン肉万太郎。何故か転生だか憑依だか判別つかないけどとりあえず万太郎になってしまった元一般人で元は女だった存在だよ。成り代わりの宿命なのか今は不本意だけど正義超人として自分なりに頑張っているよ。そんな僕に後輩が出来たんだ。四人、今は実質三人なんだけど。その三人の内の一人の話をしようと思うんだ。名前はジェイド。かの伝説超人、ブロッケンJrの弟子で血気盛んなところはあるけど師匠や知り合いの叔母さんを大切に思える優しい青年なんだ。原作の万太郎に対して豚だの平気で罵って敬いもしなかったけど。僕はまぁ、本来の万太郎とは別存在のせいか彼から一度も罵倒を浴びせられたり暴力をふるわれたことがない。出会った当初から先輩、先輩と雛みたいに着いてきてくれて自分で言うのは照れ臭いけど慕ってくれてるみたいで嬉しかったんだ。

でもどうも最近、様子がおかしいんだよ。

僕がスカーフェイスと戦った後、退院した後から彼は僕を見つけると嬉しそうに顔を綻ばせて寄ってくるようになったんだ。その際に手を握ってきたり肩を寄せたり抱きついてきたり、最初は外人さんはスキンシップが好きって先入観があってだからつまりそういうことなんだろうな〜と特に気にしなかったし僕自身、大型犬と戯れてるみたいでちょっとした癒しで。でも何時から違和感を覚えるようになったんだよ。

妙に距離が近い、そして熱い。

ジェイドは体温が高い。いや、日に日に高くなっていってる。触れる手が肩が背中が熱い。僕は違和感の正体に少し目を逸らした。そんな筈はないと高を括ってしまった。僕の見た目と世界観からしてありえないだろうと。しかし、現在僕は押し倒されていた。

「、先輩」

何時もの彼のトレードマークである緑のメットを外して綺麗なブロンド短髪を惜しげもなく垂らして悩ましげに僕を見下し熱い吐息と共に僕を呼ぶイケメン君。その名もジェイド。僕の後輩です。

ゲェーーーー!
何故こうなったし!何故こうなったし!

混乱する脳を何とか落ち着かせながら押し倒される数分前を辿る。先輩!俺とスパーリングしてください!うん、いいよ(アレ?メットしてない)。そして現在。そうだ僕はスパーリングをしているんだ。そうだ。そうだとも。決してやましい理由で押し倒されてる訳じゃない!余りにも妙な感じに押さえてくるから妙な勘繰りしちゃっただけで

「先輩が好き、なんです」

アウト。完全にアウト。

「ジェイド、えっと」

とりあえず何か言わねば言葉を模索する。何を言えばいい。僕も好きだよ!後輩として!よしこれで行こう。

「ぼ、僕も好きだよ、k」
「本当ですか!」

食い気味にしかも頬を紅潮させて嬉しそうに目を細めるジェイド。終わった。選択肢を誤った。顔をひきつらせた僕なんてお構いなしに彼は僕の服の中に手を滑らせる。熱い、酷く熱い。ベル赤でも発動させているみたいに熱い。出来ることなら逃げたいけど、僕は今まで逃げられなくて逃げたらもっと酷い目に遭うと想像すると逃げるわけにはいかなくて。おかしい。後輩がおかしい。おかしくしてしまった。僕が本当の万太郎じゃないから!


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