万太郎になっちゃったよ | ナノ


▼ 僕と彼の全面戦争プロローグ編:ケビンマスク

僕の過ちはどこから始まっていたんだろう?生まれた瞬間?原作とは違う行動した時?僕の中の存在が既に過ちなんだろうか?ホテルの個室、大柄な男二人は悠に寝そべれるベットの上でマスクすらしていないマッパな状態で隣には同じくマッパな見知らぬ僕より大柄な男が僕を抱き締めて寝ている状況下で僕は盛大に嘆いていた。

/(^o^)\

ナンテコッタイ。記憶が混迷していたけど命の危機だけは察せる。僕は偽のキン肉万太郎。贋物でもキン肉一族なんだ。知ってます?キン肉一族って素顔見られたら自害しなきゃいけないんですよー。その為に自害用のナイフも持たされて、

\(^o^)/

オワタ。僕現在、素顔。このままじゃ自害コースまっしぐらだよ。まず落ち着くこう。ゆっくりたっぷりのんびりはまずいけどこうなる前の事を思い出さねばならない。隣の前髪にメッシュ入れてる顎髭蓄えたロン毛男が目覚める前に。

「合コン、行こうぜ!」

快活な笑顔のキッドがフラッシュバックする。そうだ。僕は合コンに誘われたんだ。最初は断ったんだけど付き合いが悪いだの堅物だのうるさいくしつこいキッドに負けて最初で最後の一回だからと行くことになったんだ。いつものメンバーで

14歳で合コンって、でも僕らは見た目だけだと成人した人間と見分けがつかない。つくとしたら僕らを知っている人間か知り合いか親族か。合コン行ってるって知ったら家族が泣くよ君たち。誘いに乗った僕が言えた義理ではないのだけれど。

結果は予想通り、僕ボッチ。世の中、見た目なんだね。女の子に囲まれながらドヤ顔で僕を見るガゼルマンは殴るとして僕は大して気にしてはいなかったよ。元から合コンのノリは苦手だったし、それで僕は席の端でチビチビと烏龍茶を飲んでいたんだ。そしたら一人の女子大生が僕の隣に座って

君もどう?

とお酒を勧めてきたんだ。気を遣ってなのか面白半分なのか。当然、断った。相手は知らないだろうけど僕らは未成年。目の前でガブガブとお酒をかっ食らってるキッドやセイウチンが目に入ったけど僕の体は未成年なんだ。今の君らを親が見たら泣くよ。

でも彼女はあきらめなかった。ほんの少しでも良いからと勧めてくる彼女に根負けして一口飲んで、二口飲んで、一杯飲んで、一合飲んで、一升飲んで、

本当に人の事言えなかった。
何やってんの僕。父上たちに見られたら泣かれる。

いや、だって久々のお酒だったし色々、ストレスも溜まってたし!酒、飲まずにはいられない!馬鹿だった。既に自己嫌悪で死にそうだけど更に後を思い出さないと

僕がお酒を飲んでいる間にいつの間にかお開きになっていて真っ青な顔のキッド達がテーブルに伏せている光景が過った。限度を弁えなかった僕も例に漏れず。皆、千鳥足で各々の住まいに帰宅した、はず。僕は?僕はキッド達と別れた後の記憶がサッパリない。一番、重要な記憶がすっぽりと

冷や汗が止まらない。

嘘?僕、このまま死ぬの?マジで?いや、あ、諦めてたまるか!死んでたまるか!とりあえず抱き込まれたこの状況を打開しないと。起こさないように、ゆっくりと腕を外して。うぅ、何で僕全裸なの?もしかして、やめよう。深く考えてはいけない。余計なことは考えるな、脱出することだけを考えるんだ。ひぃ、朝の生理現象がぁ当たるよぅ。泣いていい?泣いていい!?

「、ん」
「!!??」

抱きなおされた。さっきよりガッシリ力強く、密着度も増して、いやあああああ!!!ああああ!!!温い!!当たる!!ふああああ!!叫べるものなら絶叫したい。このイケメン外人誰!何なの!?ミート助けて!!殴っていい!?もう殴っていい!!??僕の内心は阿鼻叫喚だよ!!てか力強っ!こいつ超人か!薄々そんな気はしてたけど!くっそ!外せない!

「もう少し寝てろ万太郎」

頭上から眠たげな低い声。体がピシリと固まった。起こしてしまった焦りと声への既視感。僕はこの声を聞いたことがある。

「ケビンマスク?」
「まだ、はやいだろ」

聴いたことがないくらい甘い声を出しながら彼は僕を更に抱きすくめ頭に顔をすり寄せる。

「よろしい、ならば戦争だ」

僕は拳を強く握った。僕たちの戦いが今、始まる。


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