18禁です。
垣根が百合子に無機物で犯されてるだけ
百合子が酷い人

















ぎちり、動かせば音がなりそうな程きつく結ばれた紐が手首に食い込む感触。
ああこりゃきっと痕になるな、スクールの連中になんて言い訳しようなどとぼんやり浮かんだ思考は本当のところ、この状況で持ちうる最後の冷静さだった。そんな他人事にでも縋らなければ今におちる。上がる体温。はやくなる呼吸。心臓の真上少し汗ばんだ肌を焦らすように撫でる白い指。そのひんやりとした爪先の温度差にびくんと、垣根の肩が揺れたのを満足げに見下ろす赤い目がたのしそうに歪んだ。笑う口からのぞく薄く尖った舌先。短いスカートからのびる太股が自分の上を跨いでいる。目眩がした。触れようと腕を動かせば、両手首を縛る紐が存在を主張する。不快感。眉を顰める。けれども彼はその先の抵抗を彼は知らなかった。知らなかったというよりは出来なかった。勿論能力を使えば拘束を解くことはカンタンで、その上無様に床に引き倒されて腹の上を陣取られて黙っていられる程矜持が低いわけでもない。ただ、垣根帝督は抵抗するには、あまりに多くを鈴科百合子に奪われていた。


「アは、かァわい、」

ちゅ、とわざと音を立てて口付けを落とす度びくびくと震える目の前の体を赤い眼がたのしそうに見下している。純粋に、小さな子供が弾けもしない鍵盤を叩くのと同じ理屈で、そこに感情なんてあるはずもなく。それでもいいと思ってしまう。気に入らない、ぐちゃぐちゃにしてやりたいと普段ならそう思っている整いすぎた澄ました顔がこんなにも近くにあるせいで何もかもわからなくなって。

「ん、あ、ぁ、はぁ…いい加減、やめ、…っア、」
「うるせェなァ」
「は、ア…!ア、あ、ぅア、」

たくし上げられたシャツの下、薄い肌に綺麗に爪の伸びた白い指が5本の赤い線を描く。その痛みさえも快楽に変換する惚けきった神経を恨めしがって奥歯を噛んだ垣根帝督を鈴科百合子はまた笑って、性感につんと尖った両胸の乳首を何の優しさもなくぎゅうぎゅう抓った。

「ア、ひあああァ、!ァ、ぃ、は」
「そォそ、黙って鳴いてりゃイインだよ」

しばらく弄くりまわした後、飽きたと言わんばかりにあっさり手放され赤く腫れあがった突起を、軽薄な赤い舌がちらりと舐める。震える肩、上気した頬、両目を閉じてその温い刺激に耐える様子は、鈴科百合子の苛虐心を煽るのに充分だった。綺麗に浮き出た喉仏を撫でながらあいた片手で律儀に締められたベルトのバックルに手をかける。

「は、ァ!な、おいマ、ジでヤメ、あ、ァ、ふ、ゥ、ざけんな、殺す、殺してや、ア」
「ハイハァイ、その殺してヤりたいくらい大嫌いなおンなのコにレイプされちまってンのは何処のオマエですかァ?」
「あ、ア、触んなあ、ゥ、ふ、う、ッ!」

途切れ途切れの静止の声なんて聞く筈も無く、がちゃがちゃと金属音と共に下ろされたスラックスと下着が太腿の辺りまで雑な仕草で下ろされ、勃ちあがった性器が晒される。既に透明な粘液に濡れているそれを見て、鈴科百合子はありとあらゆる善良さからかけ離れた笑みで嬉しそうに笑った。

「ぎゃは、ちょォっと撫でられたくれェでこンなになっちまってみっともねェ」
「だま、れ、ァ、…ッ、ふ、ア、」
「無駄だって、淫乱第二位サン」

わざとだろう、いやに大きく音をたてながら直接与えられる刺激に性器から流れる粘液の量が増して、垣根帝督の緩んだ口元からは飲み込みきれない唾液と喘ぎ声が溢れ続けている。自分より二回りも華奢な少女に犯されているという羞恥も忘れかけてもうこのまま流されてしまおうかと、痺れる頭の片隅でぼんやりと考えていたその時、鈴科百合子の手がぴたりと止まった。予想外の展開に肩を震わせる垣根帝督など気にも留めず、鈴科百合子は何かを探すように周囲を見渡す。

「どうすっかなァ、なンか適当な…あ、コレでいいかァ」
「ぁ、お前、そ、れ…?」

散らかった床の上から、鈴科百合子が拾い上げたのは一丁の拳銃だった。名称はわからなかったがオートマチックの、銃身が長く大振りなそれは、鈴科百合子の繊細そうな手のひらに包まれてひどく異質に見えた。一体何を、と眉を顰めて見つめる垣根帝督に見せつけるように、その暗い銃口はゆっくりと口元に運ばれる。拳銃にしては眺めの銃身の表面をぴちゃぴちゃと音をたてて舌が這い、卑猥に濡れてゆくひどく性的な無機質な黒。今度は不安を隠そうともせず問いかける垣根帝督を一瞥して鈴科百合子は呆れたように告げる。

「あァ?このまま手で抜いて貰えるとでも思ったのかよ勘弁してくれよ、ンなサァビス誰がやっかよ面倒くせェ、縛られて弄られておっ勃たせてる変態野郎ならこれでもいけンだろ」
「ば、」
「きちンと鳴けよつまンねェからさァ?」

愛しげなリップ音とともに唇を離れたその拳銃が垣根帝督のアナルに宛われ、そのまま一気に中に挿入された。

「ふ、く、ァ、アああああああァ…ッ!」
「つまンねェっつってンだよ」
「ぁぐ、は、あ、ああア、あ、ハァ、あ、ゅ、りこ、」

はくはくと痛みに喘ぐ垣根帝督を気遣うでもなく、ただ滑りの悪さに舌打ちをひとつして鈴科百合子は行為を進める。乱雑に出し入れされる度に、動かされる銃身に襞の伸びきったアナルが赤く充血した。

「ぃ、痛ァ、あ…んぁ、は、ぁ…あ、んぁああア!」
「ン、この辺な」
「あぁ、違、あ、ア、ア…ッ、」
「ケツの方が感じてるンじゃねェの?変態、変態、変態!」
「ああアあァ…!あ、ソれは、ぁ、あ…!」
「突っ込まれりゃァなンでもイインですってかァ、オトコノコなのに」
「ひぁ、ァ、ア…、あああ、あ、あ、ア、ア」
「あァもォ聞こえてねェか」

中の敏感な部分ばかりを攻められ続け限界が近づいてくる。整った顔を真っ赤に上気させ、快楽に惚けきった様子でただただ与えられる刺激に嬌声をあげるだけの垣根帝督をみて、鈴科百合子は自分の唇を一舐めするとピストンを繰り返していた銃身をギリギリまで引き抜いて、内壁を抉るように一気に押し込んだ。
ひと際高く喘いで、歳の割にはまだ薄い背中を仰け反らせながらびくんと大きく震えて垣根帝督の、半端に脱がされ肌蹴きった制服の上に精液が吐き出された。





「あーあァこンなにトンじゃって」

はあと浅い呼吸を繰り返す垣根提督の、半開きになった唇に徐に湿った指が添えられる。ぴちゃりと不必要に湿った音を響かせて口内に捩じ込まれた白い肌の酷く生臭い味に眉を顰めれば、無理矢理舌を絡めとられて丁寧にしゃぶらせられた。最後唇で丁寧に拭った後、自分の精液は美味いかと愉快そうな声は問いかける。悪い遊び、酷い戯れ、嫌悪、屈辱、最後残った痛みだけ何に起因するのかわからないフリを。不愉快そうに歪む垣根帝督の表情を一笑して、鈴科百合子の遊びは続く。やさしく、やさしく、白い両手は涙と汗、唾液と精液に汚れた頬を包み込んで。

「なァ、キスしてほしい?」

能力もプライドも馬鹿みたいに高いこの少年がここまでの仕打ちを甘んじて受けているのは抵抗しても敵わないから、という訳ではない事に、聡い少女はとうに気がついていた。疑問系のくせに限りなく確信を含んだ音で鈴科百合子は問いかける。いつもそうだ、いつも、いつも、いつも。そうして垣根帝督はまた抗えない。こぼれ落ちる言葉とは真逆に上品な光をたたえて、薄く色づいた唇が近づいて3、2、1、ゼロを越えて耳元で声がする。

「なンてな」

「死ね、よ、クソ野郎」

わざとらしく下品な笑い声で鈴科百合子は笑った。赤い虹彩、縁取る白い睫毛、涼しげに通った鼻筋、色も形も薄い唇、質の良い人形のような肌。鈴科百合子の存在は垣根帝督にとって、つまるところ惨害だった。目障りで邪魔で煩わしく、あちらからやってくるのにこちらのことなど知った事ではないと壊す為に伸ばされる手。本気で拒絶できない事はないだろうけれど面倒が勝って結局されるがままの自分も悪いのかもしれないけれど。
本当はいつでも解く事なんてできたのに、痺れきった両腕を縛る紐が、ぎちりとまた音をたてた。

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