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「ひ…っ、」

ばりばりと破裂音にも近い音が一瞬の閃光と共に鳴り響く。それと同時にすぐ側に居る親友であり恋人である神童が小さな悲鳴を上げる。怖がっている所悪いが何だか面白い。

「き…霧野、は…怖くないのか」

ちょっと落ち着いたなってそんな時にびくびくと回り見回しながら訊ねてくる神童にまあなーと曖昧に返事を返す。きっと鳴っていない時にでも誰かと会話していないと怖いのだろう。その返事を聞いて霧野は可笑しい、そう言いたかったんだろうな、きっと。神童が発した言葉も雷によって遮られる。耳を塞いでうずくまる神童の背中を大丈夫大丈夫と擦ってやる。

「ふぇ……霧野、」

あ、やばい。神童涙目だ可愛い。殺傷力ありすぎ。とりあえずどうするか。

「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない…怖くなくなるような事何か無いのか?」

怖くなくなる事…ヘッドフォンで音楽聞く、ってのはいい案だと思うけどコミュニケーションが取りにくいから却下。テレビを見る…って電源に家電製品繋いで家に雷落ちたら怖いな。他は…って難しいか。じゃあ…そうだな、最終手段でも。

「神童、」
「なん…っ、んん」

早い話、雷に意識を持ってかれなきゃいいんだ。んで尚且神童とコミュニケーションが取れて神童の可愛い所見れて俺得な方々がちゅーって訳。

「んん…きり、…っ」

いきなりのキスに対応できず苦しがっている神童を見て、少し唇離せば案の定酸素取り入れようと口を開ける。そこを見計らってまた深く口付ける。固く閉じられた唇をつんと舌先でつつけば意図が分かった様で閉じられていた唇が開いた。すかさず舌を挿入するとぴくりと震える神童の肩。可愛い、そう内心で思いつつ柔らかな口内を舐め回した。 それからゆったりとしたキスがいくらか続いていた時、ぴかりとカーテンの隙間から光が漏れる。あ、来るなって一瞬でそう察せばキスしながら神童の耳を塞いでやる。ん…?と不思議そうに声を漏らすが直ぐに大きい破裂音が鳴り響き、神童は反射からか俺の腕を掴む力が強まる。

「っ…は、…大丈夫か?」

神童も少し辛そうだったのでゆっくりと唇離してやれば相手からはあ、と熱い息が漏れた。そんな些細な事にいちいちドキドキしながらも、頬をつうと撫でてやり声を掛ける。

「ん……平気、」

神童は赤く染まった頬を此方に向ければへらりと柔らかく微笑む。じゃあ雷ももう平気?と訊ねるとその笑顔もすぐに焦りの表情へ変わってしまった。それから数秒してまだ怖い、って。そりゃそうだ。これだけで雷が怖くなくなったなら世界に雷嫌いが居るわけ無い。

「っ、でも…、」
「…ん?」
「霧野が側に居てくれたら…平気、かも」

そうやってまたへらりと笑う神童にまた惚れさせられる。何こいつ可愛い。本当可愛い。俺はそう笑う神童の頬にちゅと軽くキス落とせば怖くなくなっても一緒に居てやるよ、って。嬉しそうに微笑む姿は俺だけに見せてくれる一面で。やっぱり離れられないな。いや、離れてやらねえ、って意味で神童の腰に手を回し抱き締めた。

(君と居れば怖いものなんてありゃしない。例え地球が滅びる事になっても。なんて)







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