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お互い高校生設定



学校帰り。いつもの道が工事中だったから仕方がなく別の道を帰っている最中だが正直この道は通りたくなかった。卒業した中学校の前を通るから。

俺がサッカーに勉強に、それに恋愛に燃えた雷門中学校を卒業してから半年ほど経った。俺は無事に高校へと入学する事ができて、勉強も一応クラスで上の方キープしてるしサッカーはもうやめちまったけどたまにお日さま園の子供たちとやったりするし。恋愛だってまあそれなりにやってきたし彼女の一人や二人。友達だってまあ面白い連中とツルんでてそれなりに楽しい学校生活を送ってるよ。でも勉強だって今では楽しいとは思えないしサッカーも先輩とプレイするのが何よりも楽しかった。それに本気で好きな女なんてできなくて、女とのセックスもただの性欲処理。それよか先輩とのセックスが一番気持ちよくてなによりも愛があった。今の友達も楽しいけど先輩との時間には変えがたいものがあって。まあ要するに何が言いたいのかというと、俺の中では別れた今でも先輩が一番で。

先輩の卒業式のその日、俺は先輩に別れを告げられた。卒業式の前日までは確かに好き好き、って言い合ってたのに。好きじゃなかったとか、他に好きな人ができたとか先輩はつらつらと言葉を並べていたが耳に入っても右から左状態。分かりました、としか言えなくて正直別れた感覚が無くて。先輩が卒業した後のサッカー部は神童先輩たちも一緒に抜けてったので先輩がフィールドに居ない事にさほど違和感は無かった。メールだって平日はしていなかったから。別れたっていう実感が沸いたのは俺たちも春休みに入ってから、休みの日会えない代わりに必ず一通は届く先輩からのメールが無くなった事で別れたんだっていきなり心に穴が開いたような。急に寂しさやら悲しさが追ってきて春休みは毎日泣いてたっけ。一度泣いてたのがヒロトさんにバレて寂しさまぎらわす為に無理言って抱いてもらったりとか。

今思えば懐かしいなって思い出してはちょっと寂しくなったりとか。いやちょっとってかかなり寂しい。雷門中の前通ったら一緒に帰ってたの思い出して、お日さま園の子供たちとサッカーすると決まって先輩のサッカー思い出す。女とキスすれば先輩の唇の感触思い出して。夜は決まって先輩の事考えて抜いたり。多分、今でも好き。先輩の方はそう思っていないだろうけどさ。今頃可愛い女の子でも見つけて楽しく生活してるんだろうな。俺の事なんて忘れてさ。先輩元気にしてるかな。ちょっとだけ気になるけど会いに行く勇気すらないしちらっと見たくても先輩の進学した高校よく知らないし。学校の名前は天馬くんからちらっと聞いたんだけど初めて聞く高校だったから。まあ場所知ってても俺に会いに行く勇気なんてこれっぽっちも無いだろうけど。

「……霧野先輩」

先輩パス練付き合ってください。先輩一緒に帰りましょう。先輩ちゅーしてください。俺はいつも先輩先輩ってばっか言ってたなぁ。そんな中学時代の事思い出してたら、気付けば視界に懐かしい中学校が見えた。見たら思い出してしまうとは分かっているもついつい見てしまう。先輩の卒業式のあの日と何ら変わっていない校門。生徒はもう皆下校している様で校門の中を覗くとぽつりぽつりと教員の車が留まっている。…ちょっとだけ、覗いてみても大丈夫、かな。せめてグラウンドだけでも。俺は懐かしさを感じながら校門からグラウンドまでの行き慣れた道を歩く。所々小さい所は変わっているも全体的には全然変わっていなくて。草などが綺麗に整備された道を通りやがてグラウンドが見えてきた。グラウンドに来たのもちょっと様子見て全然変わってないな、ってそれで終わるつもりだった…のに。

そこには人影。グラウンドに下りる芝生の坂の途中に人が。始めは雷門中の生徒だと思ったがよくよく見るとブレザーを着用している。確か雷門中は学ランだった筈。とりあえず近づいていくとあれ、ピンクのおさげこれって。

「……霧野先輩…?」

to be...?






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