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ハロウィンで変態


街が奇怪な仮装で溢れる10月31日。今やすっかり日本中に浸透してきたこのイベント、この時が来るのを待っていた。
いつもは物陰からあの子の姿を覗くのに精一杯で、話しかける事なんかシャイな僕に出来るわけがない。それにいきなり話しかけたらあの子だって戸惑うはずだ。運命的な出会いを果たしたあの日から、いつか来るチャンスの為に努力に努力を重ねてきた。僕は今日、絶対に告白を成功させる。

彼女の好きなものだってとっくに調べが付いている。モフモフの真っ白な毛並み、愛らしいお目々に凛々しい鼻筋。今日の僕はどこからどう見ても彼女の大好きな、狼。
男は誰だって獣になれる。僕は君の狼になろう…。


「明日子ちゃぁーん!」


いつもの通学路。帰り道を歩く彼女の後ろ姿はとても小さくて、今すぐにでも抱きしめたい衝動に駆られる。でもそれじゃ伝わらない、この日の為にいろんな準備をしてきた。可愛らしくラッピングされた箱を取り出して、彼女が僕の方に振り向いた。凛とした聡明そうな顔をした彼女が僕を見つめて、彼女はカバンについていたブザーの紐を目一杯引っ張った。

ビィーーーー!!!

するとどこからともなく知らない男が走って来て、彼女はその男の後ろにさっと隠れる。

「杉元。こいつがずっとつきまとってた変質者だ」
「ゴルァ!明日子さんに何する気だ貴様!」
「お菓子かイタズラかなんて生温い!明日子ちゃん!お菓子をあげるからイタズラさせてくれないか?!」
「断る。やっていいぞ杉元」
「殺す!」
「ぎゃー!だがしかし明日子ちゃんに見下ろされて殺されるならば本望!」ボキボキィ…

こうして僕の告白は失敗に終わりましたとさ。


ハロウィン記念日。


2017.11.01
2018.04.19
引越、加筆修正


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