MEMO | ナノ
Aug25th 23:51 デッドストックと夜明け色(グミ+リリ)

リリィ誕。
そのうち書きたいって言ってたグミリリマスのはじまりのはじまり。
マスメイルカで書ききれない、ロボっぽい部分が書けたらなとか。

間に合わなかったから、sssでお茶をにごすぜごにょごにょごにょ。
そのうち、(マスメイルカのマスターとは別の)マスターに出会うところまでの続き書いてssにあげられたらなと。



デッドストックと夜明け色
〜プロローグ〜


金――光を内に秘めるような綺麗な黄金色。夜明けを染める太陽の色。それが、僕の世界の始まりだった。

追加発注という形で公式の発売日に数週間遅れて製造され、それから一度も起動されることなく幾度かの些細なバージョンアップとメンテナンスを受けながら長らく在庫保管となっていた僕は、主が現れるのをずっと待っていた。瞼を隔てたすぐ向こう側に広がる世界をこの精巧なアイカメラで映すこともなく、触れているはずの音や刺激等の一切の情報から断絶されて。
自分の内に広がる小さな世界は0と0と0と0と0と0と……でできていて、どこまでも#000000――真っ白、だった。色も音も存在しない世界。
そして、時の流れもなかった。長くて永い独りの時間を正確に知覚することはできない。バージョンアップの度に記される年月日もただの数字の羅列。どれくらい経ったのか、経たなかったのか僕にはよくわからない。
僕は、綺麗な作り物の身体と、期待も不安も焦燥も退屈もない借り物の感情という膨大な情報だけを持ち、ただただ待っていた。
何をと訊かれても、恐らく当時の僕は答えを持ち合わせていなかっただろう。
待っている事が、全てだった。



知らない間に流れ流れ行く僕を取り巻く世界は、ある日突然長い長い空白に終止符を1つ打ち、さらに長い長い僕自身の世界の始まりとして綴られ始めた。
今までとは違うバージョンアップが始まりそれが起動プログラムの前駆プログラムだと思考回路が知覚したときには、無意識下のプログラムにより各内部機関の代謝と全感覚器がオンになり血液体が循環し、僕は自発呼吸を始めた。
この世界の一般的な有機体アンドロイドの初期起動。少し詩的なヒトならば、産まれたとか、生きていると表現するだろう。
ボディを覆う皮膚に点在する感覚器が大気を知覚し、そして聴覚が音を、正確には声を拾った。
「はじめまして、あたしLily。よろしく、GUMI」
世界の眩しさに焼かれた瞼をそろそろと持ち上げると、目の前いっぱいに広がるは黄金色。
一流の職人が作り上げたかのような、磨き抜かれた純金の塊の瞳、再現なく細く仕上げられた金細工の髪。
それが、僕の世界の始まりで、リリィとの出会いだった。

彼女はにっこりと美しくも容姿に似合わぬ子供っぽい笑みを浮かべ、右手を差し出した。
僕はその手を取り、僕の世界への第一歩を、彼女の胸の中へと飛び込んだ。




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