―はらり、ぱたり。
頬を伝い、顎を流れ、地面に吸収されていく。言葉なんて出ない。
―はらり、ぱたり。
止めどなく溢れては零れていくそれを止める術を僕は知らない。
「何がダメなんだろうね」
力無く笑うその表情は君には似合わないね。うん、全然似合わない。
「どうして上手くいかないかなー」
「……そんなの知らない」
慰め方なんて知らない。何時も問答無用で、この愛用のトンファーを振るってきた。だからこんな時は、どうしたらいいのか分からない。けど、僕言ったよね?君を泣かせるようなあんな奴、さっさ忘れてしまえばいいって…。
「はぁ…」
「恭弥?」
ねぇ、こっちに気付きなよ。君の隣には何時も僕が居ただろ?これからも側に居てあげるからさ、もう…
泣 き 止 み な よ
「ほら、ティッシュ…」
「う?」
「鼻、出てるよ」
名前が悲しむから、制裁は加えないでおいてあげるよ。感謝してよね。