銃口はちゃんと貴方の心臓を捕らえているのに。指は引き金にしっかりとかかっているのに。
「どうしたの」
すごく不思議そうに聞いてくる貴方には危機感というものは皆無なのか。
「撃たないの」
撃ちたいわ、討ちたいにい決まってる。
でも何故かしら。
「引き金が引けない?」
この人には人の心が読めるらしい。なら何故初めに私の心を読まなかったのか。
「知ってたよ、此処に来た理由も含め。でもね俺は…」
「ボンゴレ10代目、私は貴方が憎い」
貴方の言葉を遮って言ったのは私の彼への誓い。
私の大切な彼を、最愛の彼を奪った貴方が憎い。貴方の懐へ忍び込むためボンゴレボスの秘書となった。この日を望んで、望んで今やっと復讐が出来ると思っていたのに。秘書など私には苦痛でたまらなかったのに。
「名前」
「馴れ馴れしく呼ばないで」
どうしてかしら。
何時からか名前を呼んで欲しいと思い始めたのは。
「名前」
「止めなさい」
どうしてかしら。
貴方に名前を呼ばれるたび、貴方と共に過ごすたび、私から彼との思い出が霞むようになったのは。
「名前」
「っ、よばないで」
どうしてかしら。
涙が止まらないのは。
忍ばせた武器を捨てよう
「名前愛しているんだ」
どうしてかしら。いつの間に私はこの人の事をこんなにも愛していたんだろう。