「愛してますよ大佐!」
「はい、そうですか」


今日もいい天気ですねーなんて、相手は私を見ることなく返事を返す。


「恋わずらいでご飯が喉を通らないんですよ」
「それは大変ですね〜。はいこれ、各部署に届けて来て下さい」


笑顔にときめいた。いや胡散臭いんだけどさ。素直に受け取ってしまった書類はこの執務室から遠い部署ばかり。


「……嫌がらせ?」

「おや、ファミリア中尉ににもイヤミが通じる時がきたんですか」


やれやれ長かったですね〜、なんて言いながらも書類を書く手は止まらない。訂正しておこう私はイヤミがわからないほど鈍感ではない。コレもまたイヤミで返されるのだ言わないでおこう、うん、それがいい。

「それでは失礼しました〜」


気の抜けた挨拶をしながらそれとは別に思いっきり扉を閉めてやった。上官に対しての礼儀が…と言うの今は気にしてはいられなかった。悔しい、悔しくてたまらない。彼に相手にされないのが歯がゆいのと虚しさが胸に重く沈んでいく。



―バンッ―


「何が一番悔しいって…。私なんか眼中に入れないことが!」


昼食時、同僚にいつものように愚痴をはきに行った。


「たまったもんじゃないのよ(イヤミが)」
「あっそ。こっちの方がたまったもんじゃなよ。毎度毎度同じような愚痴聞かされる身にもなりなさい。相手方もたまったもんじゃないだろうね」
「……………」


机を強く叩きすぎたらしい手のひらがヒリヒリした、心もヒリヒリし出した。やっぱり、


「迷惑…なのかな」

「さぁね、そんな事私が知るわけないじゃない」


昼休みも終わりだからと医務室を追い出された冷たい友達だ。ただ何気ないお言葉のお陰で一度考える直すキッカケになったようだ。

今の私は恋に現を抜かしている暇などないはずだ。それに私自身もう少し成長しなければ大佐との釣り合いもとれないだろうし、しばらくは封印しようかこの気持ちは。

「そうと決まれば、仕事仕事!」


この気持ち封じ込めるのは苦しいのだけれど。これじゃあ私がなんで軍人になったのかわからない。気合いを入れ直したのに目の前が歪む。その場にしゃがみ込んだ。


「こんなんじゃ、相手にされないのも仕方ないよ…」


堪えきれなくて、流れ出す。





今 日 だ け 許 し て



(苦しいんだ)



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