遠くから私を呼び、わざわざ駆け寄ってきてくれた愛しい彼。


「ナマエちゃーん!」
「あははは!殴っていい?」
「なんで!?」


オレっば何かした?なんて言ってるナルトはほっとく。ええ、そりゃご立腹ですから。


「あのさ、ナマエちゃん…」
「ワタクシあいにく記憶力が乏しくて。貴方の様な方存じ上げませんが?」


にっこり笑って言ってやれば顔を青ざめるナルト。いや〜素直過ぎるのも考えもんだなあ。からかいやすくていいけどさ。盛大なため息を吐けばびくりと揺れた肩。理由分かってんじゃねえかコノヤロー。


「昨日・私・言ったよね」
「え、いや…」
「い っ た よ ね ?」
「……はい」


?マークなんか付けたが疑問系ではい。ナルトとは忍者学校以来の仲だ。そしてサクラを好きな事も知っている。あれだけ追い掛けていれば誰でも分かる事だけどね。だからこそ昨日はわざわざ、せっかくチャンスを作ってやったのに…この私が!結局は大切な事を言えず終い。真面目な顔してれば格好いいんだから、真剣に“好きだ”の“愛してる”だの言やいいのに。


「結婚してくれ、くらい言えバカ」
「けけけ結婚!?」


赤くなっていく顔、意味もなく慌て始めるナルト。チッ、このヘタレめ。


「あんた押しが弱い。どうしたの?下忍時代はそれこそ鬱陶しいくらい積極的だったじゃない」
「…………」
「頭で考えったってナルトはダメなんだから思った事を口にしなさい。難しい事は考えるな」
「ナマエちゃん、オレ…」
「応援してんだからね、私」


そうだ、とっととくっ付いてしまえばいい。例えサクラが相手でなくても下忍や中忍にあんたを慕しってくれる可愛い女の子なんかわんさかいるんだ。
上忍になり、二十歳を越え、未だに相手がいないのってどうよ、この際自分の事は置いておくとして。下忍時代いや忍者学校以来の片思いなどさっさと切ってしまえばいいのに、それが出来ない私に非が有るのだが。諦めれるような思いじゃなくて、だから…。


「可愛い奥さん貰って、可愛い子供作って、誰もが羨むような幸せな家庭を作ればいい。あんたにはその資格があるんだから」


お願いこの想いに終止符を打って。


「あんなに頑張ってきたんだ。一つくらい我が儘通したって罰は当たんないよ」
「……っ」


己の気持ちの決着を自分でつけらない弱い私を許して下さい。


「じゃあさ、オレの好きな人との時間作って欲しいってば」
「いくらでも協力するって」


苦しいし、悲しいけど、心から祝福してあげる。何よりナルトの幸せだ、私はそれで嬉しいよ。


「昔からお節介で、気が強くて、意外に負けず嫌いでみんなの知らない所ですごく努力してた。口が悪くてすぐ手がでるのが偶に傷だけど、でも本当は寂しがり屋で涙もろい。すごく優しくて、笑顔に今までたくさん助けて貰った。だからオレ、いつかその子の事守れるくらい強くなったら言おうと思ってた」
「ナルトは強くなったよ」


そう言えばすごく嬉しそうに笑った。やばいなあ、ちょっと泣きそう。ナルトの成長も含め母さん嬉しくて泣きそうだよ…、ほんとに。あ、視界かぼやけてきた。


「好きだナマエちゃん」
「そうかそうか、私が好きか………――え」
「やっと言えたってばよ!」


え?はい?あれ?何事?
なんかあまりの衝撃に涙が引っ込んだんですけど。


「ごめん、どちらのナマエさん?」
「今オレの目の前にいるナマエちゃん」
「ほー」


夢かこれ。ああ、夢なんだなこれ。私末期症状じゃん。立ちながら寝るとか凄いよ私。





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「夢オチってか」
「いや…、夢じゃないってばよ」



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