私の好奇心で我が身を滅ぼす事になるなんて思ってもみなかった。


「確かこっちの方角から…」


金属音が聞こえたんだ。
それは慣れ親しんだクナイや手裏剣を弾く音。誰が修業でもしているのかという単純な興味で此処まで来た訳だけど…。今私の考えを占めるのはこんな里から離れた場所でこんな時間まで修業してる奴がいるのか?とまた単純な疑問であった。単純な思考で行動した事、疑問に思ったこの時にすぐ引き返せば良かったとこの後すごく後悔する事になる。





「うーん、近い」


激しくぶつかり合う音が大きくなると同時に微かに風に混じって血の匂いがする。これは引き返した方が正解かもしれないと思いながらも、自分の中でむくむくと大きくなる好奇心には勝てなかった。自分の出来る限りの用心の払いながらゆっくりと歩みを進めると木と木の間、黒い影が過ぎるのを視界で捕らえた。

ごくりと喉がなった。目の前繰り広げられるのは忍と忍の生きるか死ぬかの戦いだった。アカデミー生である私がこんな激しい戦いを見たことがなく、何時の間にか強く手を握り締め食い入るように見ていた。私の捕らえる事の出来る精一杯の範囲で。





汗が顎まで伝い落ちる。固唾の飲んで見ていた戦いは頭まですっぽり覆う黒衣の着た忍の勝利で終わった。握っていた掌は爪の跡が深く付いていて、長い間力を入れていた事に気付く。



「盗み見とはいい趣味だな」


自分とレベルの違い過ぎる戦いの余韻に浸りながらも早くなった脈と暑くなっていた頭と体を冷やしながら爪跡の残る掌をぼーっと見ていたら、背後から声が聞こえた。あれ?これは次は私がヤバイ番ですか?錆び付いたブリキの玩具のごとくギギギギギと振り返れば、先程の黒衣と動物の面を付けた忍が立っていた。
あー、死亡フラグ?






闇をまとい暗闇に紛れる存在と 
好奇心




この時の私は自分の生死しか頭になく、これから立ちはだかる人生の障害はとてもじゃないが越えられないと理解するまでにかなりの時間を要するとこになる。



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