「あ、そうだ。面白い話があるんだけど」
「何の話だよ」
「聞きたい?」
「…じゃあいい」
「えー。聞いときなよ、てか聞け」
「はあ…、強制かよ」
「ふふ、あのね…」





どこにでもいるごくごく普通の女の子のお話。

その子住む世界はポケモンがいない世界。でもポケモンは存在はしたんだ一応。それはアニメや漫画やゲームでのお話で…。
あ、意味わかんなよね。補足、じゃないけどポケモンっていう存在はアニメやゲームでの架空の存在だったってこと。


「ポケモンがいない?」
「はいはい、黙って聞く」


その子はね、その“ポケモン”っていうゲームが大好きだったの。一番好きかって聞かれるとそうでもなかったんだけど、好きだなあって思う物だった。

今日はあのポケモンを捕まえるまで山から出ないとか。
じゃあ今日はこのポケモンを進化させようとか。
どのポケモンのレベルをアップさせようとか…。

ただ純粋にその“ゲーム”を楽しんでいただけだった。

ちょっと浮気性のある子だったの。あっちのゲームに手を出し、こっちのゲームに手を出し。しばらく放置していた“ポケモン”にまた手を出したり。ゲーム好きな子で軽く…いや結構ゲーマーだったなあ。図鑑のコンプリートはしたい派だったし、レベルはマックスまで上げたかった。
本当にだだゲームが好きだったの一週間…、いや軽く1ヶ月くらいゲームが出来なくても平気ではあったけど。彼女にとってゲームは最高の暇つぶしでもあったから…。

あぁ、ごめん。話がズレたね。

女の子が久々に“ポケモン”をプレイしたの。そしたらさ、それがまたハマっちゃって。再び熱中するようになった。
その子の手持ちには必ずゲンガーが入っていたわ。初めの方のポケモンなんてゴーストタイプのポケモンはゴース、ゴースト、ゲンガーだけだからね。打たれ弱い点を抜けば、まあまあ強かったのよ。あの頃なんてポケモンは“とくせい”なんて持ち合わせはいなかったから苦労したわ。

やー、やっぱにサイドン強いよね。え、嫌がらせかって?…どうでしょうね。それより…脱線しまっくってんだけど、どうしてくれんのよ、もう。
とにかく、その子手持ちにはゲンガーが当たり前にいたのよ。ちなみこれ、前振りだから。

…いった!叩くことないじゃない!何よう、ちょっとしたお茶目心じゃない。え?話の続き?何だかかんだいいながら気になるんじゃない。うん?さっさとこんな面倒な時間を終わらせたい、て…失礼な!てか、幼なじみの長話くらい付き合いなさいよまったく。


今日も女の子は普段しているように布団の上に寝ながら普通にゲームの電源を入れた。面倒くさい宿題を終わらせて明日の用意もしてね。
何時まで経っても画面は暗いままだった。確かに電源は入っているのにおかしいと思って電源を入れ直したの。けれどやっぱり画面は真っ暗なまま。故障したのかと思った時、急にテレビの電源が入るように一瞬画面に変化があった。ほら、テレビの電源を落とす時、今まで映っていた画面が小さく消えてくような感じ。…言葉に表すのは難しいね。ゲーム機に異変があったのは事実なのよ。今までこんなことはなかったし、いくら故障でもこんな壊れ方はおかしいもの。だいたい途中で画面がフリーズしたり、きちんと読み込みができなかったり、起動すらしなくなったりするのが普通じゃない。少し気味が悪くなった。そしたら、ゲームの画面にゆっくりと砂嵐が映り始めたの。おかしいでしょ?テレビとしても使えるゲーム機だったけど、また別のアンテナが付いた機器を付けなきゃテレビとして機能しないの。だから砂嵐が見れるなんてこと有り得ない。だんだんと恐ろしくなってきてそのゲーム機を閉じようした。けどね、閉めることは叶わなかった。何故かって?それはね…


「こっちにおいで」


て、声が聞こえたから。はっとして画面を見ると赤い目が此方を見ていたの。それから先のことは意識を無くした女の子は知る由もないのだけれど。気付いた時にはもう。知らない場所に倒れていたのよ。
そして女の子の近くにはゲンガーがモンスターボールを持ってこちらを見ていた。

(迎えに来たよ)





如 何 で し ょ う か ?




よく出来た話でしょ、と笑う彼女の横にはいつの間にか相棒のゲンガーが笑っていた。



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