しらしらと明けゆく空に、 「っぅ、」 「わりぃ……」 小さく呻いた声に犬夜叉はそうとだけ呟くと、血の滲む耳殻を舐った。 そして優しく抱くように白い肌に手を滑らせては、ふつふつと背に浮かんだ玉のような汗を舌先で掬う。 痺れるような甘さに喉を鳴らせば、それは存外大きく響いた。 小屋に充満する水音も匂いも声も、限りなく淫靡だ。 振り乱れた髪を丁寧に梳りながら口づけると、かごめは喘ぐ声のなかでときめくような吐息を零した。 大切にしたい。優しくしたい。傷つけたくない――――犬夜叉がそう思っていたのはいつの頃だったか。 今もあの頃と違わず、そう思ってはいるものの、日に日に膨らむ欲は虚ろに行き場を探す。 ひとつ、またひとつ。かごめの肢体に増え行く傷は行き着いた欲の痕跡だ。 嫌と怒り、手を振り払ってくれればいいものの、彼女は決してそれをしない。 「かごめ……」 乞うような眼差しで名前を呼んで、広げられた細腕に抱かれる。 またこうして許される。そしてまた―――― もう掠れた声に甘く呼ばれて、犬夜叉は首筋に牙を立てた。 ぷつりと弾けた皮膚からは甘く赤い味がした。 掌上に運る |