5000打リクエスト企画 | ナノ

結論:どっちもいいけど生足最高
※短編「くだらない話をしよう」続編
※総じてキャラ崩壊


「で、わざわざ残らせて何の話だよ」


放課後、1Aの教室に男子だけが集まった。黒板の前に峰田くんと上鳴くんが立ち、かっちゃんは瀬呂くんのセロハンテープでぐるぐるに巻かれて、椅子に固定されていた。思わず噴くくらい笑ったら、ぎろりと睨まれて死ぬと思った。睨みだけで人を殺せるなんて、かっちゃんすごいな怖すぎるよ。

峰田くんがバンッと教卓を叩いた。

「お前ら…みょうじのタイツどう思う…?!」

僕は思わず頭を抱えた。そういう話か…!!この前の食堂での話し合いを思い出した。あのときは昼休みだったから時間制限があったけど、今回は放課後。無制限だ。僕…耐えられるかな。

かっちゃんが瀬呂くんのテープを爆破した。かっちゃん…!こんな話に乗るわけないよね…!と、思ったけど、僕の意に反してかっちゃんは、頬杖をついた。

「俺は反対だ。肌が見えねえ」
「さすが爆豪!!話が合うじゃねえか!!」

知ってた。この前のときで知ってたよ僕は。でも…でも…!やっぱり味方はいないのか!

「別にタイツくらいいいんじゃないか?」
「だよなー。見てて寒ぃんだよ、女子のスカート」
「バカ野郎!!パンチラが見れなくなんだろ!!」
「元から見れねえだろうが」

瀬呂くんと尾白くんが最もなことを言う。僕もそれには賛成だ。女の子の制服はこの季節(※冬設定)にしては、すごく寒そうで…いや!僕はぱっと見の話をしてるだけであって、常日頃から、それこそ峰田くんみたいに凝視してるわけじゃないから…!

「でも何で!?何で急にタイツなんだよぉ!!麗日なんか4月からタイツだったじゃねえか!!」
「気温によって変えてんだろ。俺はいいと思うぜ」
「AVみてえだしな!わかるぜ轟!」
「それを言ってんじゃねえよ俺は」

ごめん…。僕はもうここからは何も言わないよ。僕にできることは、こっちに矛先が向かないように存在感を消し、空気と化すだけ…「緑谷くんはどっち派なんだ?ちなみに俺はニーハイだが」…飯田くーーーーーーん!!!!!!!!

「ぼっぼぼぼぼぼ僕!?!」
「ニーハイといえば絶対領域だな。緑谷くんもそう思わないか?」
「飯田くん…帰ってきて…」
「?俺はここにずっといるが?」
「いや、そういう意味じゃなくて…。常識的な意味で」

前の席に集まって話しているから、なかなか空気になれない。横に飯田くんがいるから、彼から話を振られる。嫌な訳じゃないしむしろ嬉しいけど…、今はやめて。この話に関しては僕から話すことなんて1つもないよ。

「上鳴は何が好きなんだよ」
「俺?くるぶしかな」
「マニアックだな!!またか!」
「中学んとき、女子が体育のときにくるぶしのやつで、それで目覚めた。いいぞ〜、あれ。くるぶしソックス+短パンのコンボ。白い肌が見えすぎてエロい」
「わかるのが虚しいな」

わかっちゃうんだ、常闇くん…。とりあえず上鳴くんと峰田くんは、この際黙った方がいいと思う。

「なんだそれやべえな」

食いつかないでかっちゃん!!!そういえば脚好きなんだったこの人…!ガキ大将気質の幼馴染みに対する認識が、徐々に変わっていくのを感じた。

「まあ素足が一番いいよな。みょうじって肌すべすべだし…って、なんだよお前ら、その顔。」
「何で切島、すべすべって言い切れんの?」

何でみんな"すべすべ"って言うの?っていう、僕の独り言には誰も反応しなかった。

「お前らは知らないだろうけどな…、くっ…!こいつ、この前の実践練習のときに、みょうじの太ももに挟まれてるんだ…!羨ましい…!羨まじい゛よおぉ…!!」
「またラッキースケベかよ切島ぁ!!」
「うるせー!!でもマジで気持ちよかったです!!!」
「殺す!!!!!!」

早く家に帰りたい。今日の晩ごはん何かなあ…。そう現実逃避しながら、僕はこれ以上会話を聞きたくなかった。ニーハイかタイツかという話題から、どんどんおかずがどうだのな話になっていった。もうだめだこのクラスは。

「あの足で踏まれたら俺死んでもいいかも」
「さっさと死ね」
「そりゃねえぜ、爆豪!!ぶっちゃけお前も死ぬだろ!!」
「んなもんで死ぬか!!」
「ムスコ踏まれたらそう思うって!マジこのネタ抜けっから!」
「うるせえ黙れぶっ殺すぞ!!」
「爆豪オナネタの話は無理なのか…。オイラ、お前のセーフラインわかんねえや」
「いや爆豪の言う通り、お前ら黙った方がいいぞ」
「そうだぞ峰田くん、上鳴くん!不躾な!!」
「さっきまでノリノリだったじゃねーか」

そんなときだった、がらりとドアが開いて、みんなの体が固まった。ギギギ、と機械音を鳴らしながらドアの方を向くと、

「みんなまだ残ってたの?」

みょうじさーーーーーーーん!!!!!逃げてーー!!!あわわわわと一人慌てている僕をよそに、みんなは平然とした顔で「…で、敵がどうしたって?」と真面目に、敵対策に個性を強化する話をしだした。なにその切り替え。僕一人着いていけず、一番ドアに近かった僕にみょうじさんが「みんな何してるの?」と聞いてきた。僕にそれ聞かないで!!

「え、ええええええっと、ほら、自分に不利な個性持った敵が襲撃したらどんな対処をすればいいかって話を…!」
「女子抜きで?」
「そっそれは、えっと、えーと、」

飯田くん、ヘルプ!!飯田くんに視線を投げ掛けるが、本人は冷や汗をかきながら真面目な顔で「俺の場合はそうだな…」とか言い出した。誰か助けてください。無理です。僕じゃ無理です。

「声をかけたときには、女子は帰ってたからな」
「ふーん、そうなんだ。外めっちゃ寒いから早く帰りなよー」

みょうじさんは轟くんの言葉に納得して、忘れ物を取りに来たのか席に向かった。みょうじさんの席はみんなが集まっている本当に真ん中にある。みょうじさんの席は誰も座っていなかった。

「みょうじ、明日の授業、コスチューム着るんだろ。寒くねえのか」
「あーそれね、どうしようかなって思ってて。タイツは絶対履くって決めてるんだけど、ほら。私のコスチュームって背中出てるじゃん?あれ絶対寒いと思うんだよねー」

瀬呂くんが好きだという背中は、確かに寒そうだ。明日は体操服着ようかな、とみょうじさんが呟くと、上鳴くんと峰田くんが声を揃えて「だめだ!!!!」と叫んだ。

「な、何で?」
「ヒーローなんだからコスチュームはいつも一緒だろ!!!いつどんなことがあるかわかんねえんだからさ!!」
「そうそう!!もしかしたら轟みてえに熱の個性持った敵かもしんねえしな!!!どんな状況でも対応できるように、下手に変えることねえって!!」
「そ、そっか…」

二人の剣幕に呑まれて、みょうじさんは素直に頷いた。明日の気温は20度を下回るようだけど、みょうじさんは大丈夫だろうか……。まあ、寒さで凍えていたら凍えていたで、八百万さんがコートを創るだろうし、誰かが上着を貸すだろう。

「じゃあ明日はタイツもやめようかな!じゃあねー!」

みょうじさんは忘れていたという携帯を握って、帰っていった。ガタガタンと音がして周りを見渡すと、みんなが教卓の方へ集まっていく。僕も行った方がいいのかなと思って立ち上がると、みんなが上鳴くんと峰田くんの肩を掴んだり、背中を叩いて、

「よくやった…!!!」

………帰ろう。そうだ、そうしよう。今日の夜は雪が降るらしい。早く帰らなきゃ。気分的におでんか鍋だったら嬉しいなあ。まだ6時だけど外を見ると真っ暗だった。僕は今まで何をしてたんだろうか。「ありがとう!!ありがとう!!」と峰田くんが涙ながらに言い、「久しぶりの生足だな」と障子くんが呟いた。障子くん素足派だったのか。このテンションについていけず、僕は席に立ったままだった。

みょうじさんの話題だとまとまるクラスに、僕は誰にも相談できない悩みに、頭を悩ませるばかりだった。オールマイトなら聞いてくれるだろうか。死んだ目で口元だけ笑いながら、僕も輪の中に入った。

明日はみょうじさんのためにカイロを買っていこう。そう決意して。



いつもご訪問していただきありがとうございます!どんどんニーハイ、タイツ論争から離れていきましたが、恐らく結論は生足最高!だと思います。少し微妙だったかもしれませんが、私にはこれが限界のようです…。また真剣に討論させたいですね!リクエストありがとうございました!これからも「疲労。」をよろしくお願いします!