さみしがりやの惑星さん

会えないと思えば思うほど、会いたくなる。遠回しにしつこく聞いて、やっと元同級生からなまえの学校を教えてもらった爆豪は、その校門で待ち伏せしていた。雄英の制服は誰もが知っているし、体育祭で1位だった彼は、周りの注目を浴びていた。待てど暮らせどやって来る気配はない。声さえ聞こえてこない。まさか、爆豪が来ていると噂になっていて、接触を避けるため、出てこないのではないかと不安になった。本当にそうだったらどうしよう。連絡を取らなかっただけで、そんなに嫌われるものなのだろうか。人とそこまで深く付き合ったことのない爆豪はわからなかった。

「なまえったら、もー、バカだねぇ」
「ひどい!だってそう思うじゃん!」
「!」

名前が聞こえてきて、中を覗けば、こちらに向かってなまえが友達と歩いてきていた。よかった、と少しホッとしたら、視界が広がってきた。爆豪がいるところの反対に、自分のように誰かを待っている男子がいたのに気付いた。そいつもなまえたちを見ている、そして、顔を真っ赤にしている。嫌な予感がした爆豪は、なまえがそっぽを向いた瞬間、その男の元に全速力で駆け寄った。

「てめぇ!人の女に手出そうとしてんじゃねえ!!」
「えっ!!?あの子彼氏いたのかよ!!」
「居ちゃ悪いかよア゛ァ!?」

校外に出たなまえに見えないように、物陰に連れ込み胸ぐらをひっ掴んで怒鳴った。相手は物凄い剣幕の爆豪に怯えながら、想い人に彼氏がいたショックを受けていた。

「そりゃそうかぁ…………綺麗だもんなぁ、北原さん…………」
「は?」
「え?」

二人して豆鉄砲を食らったような顔をした。

「誰だそれ」
「え、だから、北原さん……」
「は?みょうじじゃねえのか?」
「みょうじ?あぁ、ちょっと地味め、」

そう言った瞬間、目の前で爆発が起きた。改めていちゃもんをつけてきた彼氏の危険さを知り、「可愛い系の……」と言い直した。

「んだよ、ややこしいことしやがって」
「いや、先に言ってきたのは…何でもないです」

ギンッと睨まれ萎縮する。問題が解決した爆豪は、次はなまえだと校門を見ると、そこにはもう誰もいなかった。二人が話し合っている間に帰ってしまったらしい。こんな仕打ちは初めてだと、ワナワナと怒りに震えた爆豪は、いちゃもんをつけられた男を力任せに殴った。

「てめぇのせいで見失っただろうが!」

殴られた相手は気絶している。この逆ギレで後日相澤に叱られ、挙げ句にはなまえの学校に近づかないように言われた。



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