常闇踏陰


「出会ったときから決めてました!私と付き合ってほしいです!真面目に!!!」
「え、コレマジなん!?マジなん!?」

上鳴くんが慌てふためいているけど、そんなものは関係ない。彼は全く関係ないのだ。いや、今日はこのような機会を与えてくれて本当に感謝しているのだけれど、しかし関係はない。関係が唯一あるのは、漆黒の鴉を持つこの人、常闇踏陰くんただ一人である。

「…………この俺に、着いてこれるか」
「どこまでも!」
「なら許す」
「本当ですか!!」
「何?なまえは常闇の弟子になったわけ?」

え、弟子?

耳郎ちゃんの言葉を受けて硬直する。そ、そんなわけないよね……。確認するため、ススス…と常闇くんの後ろに移動した。そして後ろからがばり、抱き締めてみたが振り払う気配はない。

「みょうじ、眩しい」
「すきーー!!超すきー!!」
「黒影が苦しんでるから光るのをやめないか」
「めっちゃ意外なんですけど。お前ら個性は相性最悪なのにな」

上鳴くんが言う通り、私の個性は“電球“である。気分が高揚すると、全身が隈無く光るのだ。これは、光を苦手とする常闇くんの個性、黒影に悪影響を及ぼす。だけど、常闇くんは私自信のことは苦手では無かったのだ!嬉しい!嬉しい!!

「うわ、眩しっ!」
「みょうじ。そんなに光られると、先の言葉、無かったことにするのも止むを得ない」
「止めます!!!」

常闇くんが言った瞬間、光がしゅっと消えた。悲しい。無かったことにされるのはとても悲しい。絶対に嫌だ。別に撤回されたわけではないが、テンションが急降下してしまったため、なかなか上げることができない。すると、黒影が常闇くんから伸びてきて、私を恐る恐るその嘴で撫でてくれた。

「……っ!!っ!!すき!!!」
「ふ、黒影もみょうじの光は、嫌いではないようだな」
「何だろう。すごく甘い空気なんだろうけど、そこまで嫌じゃない」
「だなー。おもしれーなぁー。俺常闇と交流深めようとして、テンションすげぇみょうじ選んできただけなのになぁー。ハッ、俺ってキューピットだったんじゃね!?」
「イタい」

確かに私と常闇くんの個性は相性最悪だ。でも、私が常闇くんの隣にいるってことは、もし黒影が暴走したら、すぐに光ってそれを抑えれるってことだよね!私、常闇くんの役に立てるかもしれない!嬉しい!!好き!!

「みょうじ、眩しい」
「オネガイダカラ、ヤメテクレ……」
「これからはサングラス常備だな」