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「ふふふふっ・・・・あ〜笑った。
もうやっぱりmaruさんはmaruさんだね。
たしかに渋めのお茶とか和菓子が好きだったり、俺が花育ててる花壇の横で野菜育てたり、
おばあちゃんみたいなところあるけど・・・・ふふっ・・ふふふふっ・・・」


なんてことをしてるんだこの世界の私!そりゃ言われちゃうよ、おばあちゃんって!!
あれ?そういや私も学生のときに花壇で野菜育ててたわ。恥ずかしい!!



「・・・ふふふっ。でも・・・そんなmaruさんだから好きになったんだ、俺。」

そう嬉しそうに、私の目をまっすぐ見て微笑む彼に、私は好きというワードにまた顔があつくなる。
撤回します!この世界の私、野菜作ってくれてありがとう!!



私の顔が赤く染まったことに気付き、彼は腰に手を回してくる。



「で、俺は彼氏のままで良いんだよね?」

また鼻がくっつきそうな距離でそう聞かれ、わたしは数回首を縦に振る。
てゆうかもうおでこくっついてる!!それに手がっ!腰に幸村君の手がっ!!



「じゃあ、maruさんは、とりあえず敬語やめてね。」

『は、はい!!・・じゃ、じゃなくて・・・・う・・ん。』

「うん。よくできました。ついでに名前で呼び合うのなんてどう?
さっき、精市って呼んでくれて嬉しかったんだ。」

『そ!それは・・・!』

「・・・だめ?・・maru・・」

おでことおでこがくっついたまま、そう聞いてくる精市君。
ていうか名前!名前呼ばれた!!




『あ、あの・・・幸村・・くん・・・・・。』

「・・・・maru?」

『・・・・・・・。せ、せい・・・いち・・くん・・・・?』

「・・・・・」

『・・・。精市くん・・・。』




そう呼び終わって真っ赤になった顔を隠すため思わず俯いたが失敗だった。
いつの間にか幸村君に壁際まで追いつめられてる。





「ふふっ・・・・。maru・・・。耳真っ赤」



そう耳元でささやかれ、さらに耳があつくなるのを感じる。
25歳なのに17歳の男子高校生に名前を呼ばれたり呼んだりするだけで耳まで真っ赤になってしまうなんて童貞か私は!
いや、女だけども!!

しかもこの状況、からかわれてますよね!もしかしなくても私からかれてますよね!?17歳に!!
いや・・・幸村君だから年齢とか関係ないのか・・・だって神の子だもの、うん。

そんなことを、ふつふつ思いながら恨めしそうに顔を少しだけそっと上げると、少し意地悪そうな微笑みをした幸村君と目が合う。



『ふふふっ。ごめんね?maruがあんまり可愛いから、少し調子に乗っちゃった。
でも、俺の気持ちも分かって?
だって、昨日やっとの思いでウン年越しの想いがmaruに通じてやっとこれからってときに、記憶がないとか言うんだよmaruってば。
あ、勘違いしないでね?別にそれでmaruをせめてる訳じゃないんだ。
たださ、俺としては今日から徐々に距離を詰めていって恋人っぽい事したかったんだ、maruと。
でもmaru記憶ないって言うし、俺とつき合ったことも忘れたみたいだし、俺としては少し、いやかなりショックだったんだ。

それでもmaruは記憶をなくてしてもmaruで、素っ頓狂なことも言うし、俺の言動ですぐ顔赤くなるしさ。
俺との思い出は思い出せなくても、俺のこと好きだっていう気持ちはあるんだって思うと嬉しくて、つい、ね。』



ああああああこの世界の私はこんなに幸せだったのか!!なんとうらやましい!!ていうか私なのか?




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