2013/05/25 仮に死んだとしても尸魂界で会えるだろうにと君は苦笑するような素振りを見せた。乾いた笑い声が狭い部屋に木霊する。多分君が本当に言いたいのはそんな事ではないのだろう、馬鹿なことを言うなと僕を怒鳴りつけたいのだろう。でも、でもきっと、僕は君と同じ所へは行けないよ、黒崎。 世界のバランスを崩してしまう滅却師は、死後地獄に行くのだろうかと考える事がよくあります。かなしいです 2013/05/25 僕が死んだら、私物は全部捨ててしまってと石田は言った。どうしてこんな話になったのかは覚えていない。只、それは唐突に石田の口から吐き出された。何でだよと不機嫌なのを隠そうともせずに訊けば、形のある物はいつまでも残って、きっと君を縛ってしまうから。そう言って困ったように笑うのだ。 2013/02/03 「おはよう」 「ああ、おはよう黒崎。……」 「何だよ、何か俺の顔に付いてんのか」 「いや付いてるというか、…目の下のくま酷いな」 「あー、そんな目立つか」 「ああ」 「……女子にファンデーション借りて隠してみるか」 「きっと君に似ている肌の色をした女子は校内にはいないと思うから、必然的にファンデーションも見つからないんじゃないかな。というか判断能力も鈍ってるぞ黒崎、普段の君からは考えられない」 「石田ファンデ持ってねえ?」 「もう帰れよ」 「持ってねえのかって聞いてんだけど」 「持ってるわけないだろ馬鹿!せめてコンシーラとか言えるようになれ!」 「こ、コン…?」 「もういい忘れろ。あと仮に、仮にだぞ。持ってたとしても絶対に肌の色合わないからな」 「ああ、お前焼けねえもんなぁ」 「そんな言い方されると無性に腹が立つな。いいから今日はもう帰って寝ろ」 「俺今登校したばっかなんだけど」 「保健室利用したって君はどうせ1時間以上寝るんだろ、だったら家で一日ぐっすり眠ると良い。試験前で授業は殆ど自習だし支障無いだろ」 「…まさか学年主席から勉強放ったらかして家に帰れなんて言われる日が来るとはな……」 「そこまで言ってないだろ、おい笑うな」 「はー、眠い」 「だから帰れって言ってるだろ!ああもう、一日寝ない位じゃくまはこんなに出来ないぞ普通。何日寝てないんだ」 「三日位」 「一人で睡眠耐久戦でもやってるのか?馬鹿か?いや馬鹿なのは元からか」 「でも昼間ちょっとは寝てるんだぜ!」 「威張るな!どうせ授業中にだろうが!……悩み事、は無いよな確実に」 「好き勝手言わせておけば失礼な奴だなオメー!知ってたけど!」 「じゃあ何を悩んでいるんだ。話位なら聞いてやらない事も無いぞ」 「…無いけど」 「ほら見ろ!」 「誇らしげな顔すんな」 「じゃあ何だ、近所の騒音が酷いとかか?…でもそれも違うよな。君の家の辺り、夜中騒がしい家も工事中の場所も無いと思うし」 「色々推測してくれてるとこ悪りーな。単に寝付けないだけなんだよ」 「子供か」 「っせーな。んで、昼間は眠くなるけど学校あるからあんま寝れねえだろ。それで夜は目が冴えちまうし」 「へえ。いっそ睡眠薬でも飲む?」 「いきなり最終手段だな」 「家には?」 「探せばあるだろうけど家族に見つかったら説明が面倒かもな」 「じゃあ彼奴の所からくすねて来ようか」 「お前こそ何言われるか分かったもんじゃねえぞ!あと犯罪だそれは」 「いや、不眠なのが僕だったなら正面から行っても何も言わずにくれると思うよ」 「俺は?」 「…分かるだろ?」 「……はい…」 眠れない黒崎くん(17) 2012/09/18 なぁ、自分のものとは思えない程か細く鳴いたそれは、相手に聞こえなかったようだ。後ろを向いている石田が此方を振り返る気配は無い。それでも、まるで独り言を紡ぐように言葉を吐き出す。 「――俺さ、生きてる内はお前と一緒に居たいんだ。出来ればずっと」 自分としてはこれ以上無い勇気を振り絞っているのに反応が何も無いというのはさすがに辛い。しかし、お前はどうと問うよりも先に、白く細い指が自分の骨張った指にするりと絡まった。 「君は変なところで怖じ気付くんだ、いつも」 此方に背を向けたまま、自分よりも少し高い凛とした声が部屋に響いた。 「普段はもう顔も見たくないって位鬱陶しいのに」 「酷ぇな、必死の努力だろが」 「肝心な時は声が震えるのって恥ずかしいね、本当」 「るせえ」 「今だってそうだ」 「………」 「でも僕は、そんな君に惹かれてるんだ。全く以て酷い話だよね、…どう思う?」 「…いいんじゃねえの?」 「本当に?」 「だって、それがお前の本心なんだろ」 「……うん、そうだね」 微かに震えていたその声には、気付かない振りをした。 イチウリ告白20パターン本とか出したいくらいには彼等の告白(プロポーズ)場面を書くのが好きです 2012/08/20 頭部に当たる何か擽ったい感覚に意識を奪われ、ゆっくりと目を開けた。ぼやけつつも広がった視界には、男のそれにしてはほっそりと白く、しかしやはり骨張った手が隅に押しやられたかのように映っている。髪を触っていたらしく、先程の感触はこれだったのだと合点が行く。 どうやら俺が目を覚ました事に気付いたようで、おはようと上から声が降ってきた。欠伸を噛み殺しながらおはようと返せば苦笑されてしまう。どうやらきちんと言葉にならなかったらしい。眠気覚ましの為に瞬きを数回した後、声の割には眠そうに目を擦る石田に話し掛ける。 「オメーまだ眠ぃんじゃねえの、低血圧だろ」 するとうん、眠いと呟きながらこくんと肯いた。 「だから今から二度寝」 「…オメー、人を起こしといて自分はもっかい寝るのかよ」 「語弊があるな、起こすつもりなんて無かったんだ。君が勝手に目を覚ましたんだよ」 「屁理屈こねるな」 「手持ち無沙汰だったんだ」 「開き直るな」 「どっちだよ」 ほら、なんて言いながら伸ばされた腕に抱き締められ、身体を再びベッドに引きずり込まれた。珍しいこともあるものだ、と心中でひどく感動する。自分を巻き込み床についた石田に小さく声を掛けれども返事は無い。微かに聞こえる寝息から、既に意識は無いのが窺える。 「風邪ひくぞー」 「………」 …完全に夢の世界へとトリップしてしまったらしい。何時もなら寝付きが悪いのに今日は早すぎる。一体どうした事か。そんな事を考えながら自分も緩やかな眠気に身を任せつつ、再度深い眠りへと落ちていった。 短いのでこっちに。 私の書くイチウリはまだ最後までした事がないのに朝チュン話多いような気が…。 2012/07/07 「やる」 「いらない」 「即答はねーだろ」 「だって誕生日とお昼ご飯の時以外に君から貰う物って大抵ロクな物じゃないし」 「そんなにお前に物やってねーよ。つか言い回しに悪意を感じるぜ、貢いでると思われるだろうが」 「パトロン?」 「ねぇよ!」 「冗談だ」 「オメーの冗談は分かり辛いんだよ。おら、いいから持て」 「はぁ…、短冊?」 「そうだよ短冊だ」 「僕に渡してどうするのさ」 「何でも良いから願い事書いとけ」 「…書いたらどうするんだ」 「飾るんだよ、家の笹に」 「笹…」 「そう、笹」 「君の家、イベント事に熱が入ってるなぁとは常々思ってたけど…笹まで用意するのか。本格的だね」 「そうなんだよ、一昨年までは親父が切りに行ってたんだけどもう歳だーとか言ってな、去年から俺の仕事になってんだ」 「君のお父様、そんなに体が悪そうには見えないけど」 「ああ、健康体そのものだぜ実際」 「…不憫だね、君」 「そんな顔でこっち見るな!」 「不憫でも懸命に生きる君は素敵だと思うよ」 「どうでも良さげだなお前」 「実際そうなんだよ。で、この短冊は遊子ちゃん達も見るの?」 「おう」 「なら下手な事は書けないね…、どうしようか」 「気にすんなよ。どうせなら叶いっこないようなでっかい事でも書いとけ」 「叶いっこない、ねぇ。………よし、これで良い」 「早いな」 「ちゃんと見えるように飾っといてくれよ」 「…『平穏な生活』ってお前これ、平凡にも程があるだろ」 「そう?僕らには最も程遠いものだと思うけど」 「………あー、」 「ほらね」 「天辺に堅く結んどくな」 「よろしく」 冗談でも黒崎とずっとに一緒にいられますようにって書いてほしいなとか密かに思ってた黒崎氏 2012/05/16 「よう。どうしたんだよ、花なんか持って」 「お早う。このカーネーションかい?貰ったんだ」 「親父さんからか?お前相手に花を贈る人間なんてあの人以外にいなさそうだしな」 「…失礼な憶測をするのは勝手だが、残念はずれだ。これは井上さんに貰ったんだよ」 「井上?何でだよ」 「さあ。君が来る少し前にこれを渡しに来てくれてね。『今日は石田くんの日だから』って」 「石田の日、って…お前誕生日は11月だったよな」 「何だその疑いの眼差しは。11月6日だよ知ってるだろ」 「いや、念の為に。そうかじゃあ別の何か……あ」 「黒崎?」 「いや、何でもねえ」 「何でもなくないだろう、ニヤニヤして気味が悪い」 「だから気にすんなって」 「するさ」 「よし、じゃあヒントだ。毎年五月の第二日曜は何の日でしょう?」 「お前がでしょうとか言うと気持ち悪いな」 「ほっとけ」 「第二日曜……、」 「どうだ?さすがに解っただろ」 「…何がヒントだ、ほとんど教えたようなものじゃないか」 「花貰えて良かったな」 「気分的には複雑だな…」 「前もクイズの時に声高らかに言われてたもんな、いっそ認めちまえ」 「それは嫌だ」 「でもお前お父さんって感じしねえしな…結構的を射てると思うぜ」 「撃たれたいのかお前」 母の日おめでとうございました。ちなみに我が家の母の日ギフトは黒猫印なワインでした。 2012/05/07 「GWか…。誰が言い出したんだろうな、黄金週間なんて」 「1951年に放映された某映画関係者の方が考えたらしいよ。どうしたんだいきなり」 「お前は歩く百科事典か…」 「だからどうしたんだって」 「いや、GWなんて言ってもする事があるのと無いのじゃ充実感にえらい差が出るな、って」 「人のベッド占領しておいてよく言う…。予定でも作れよ」 「今実行中だけど」 「は?何訳の分からない事を言ってるんだ。家族で何処か出掛けたりしないのか、君」 「一応ある。けど、最終日なんだよな」 「ふぅん。じゃあ取り敢えず出て行ってくれ」 「何で」 「君が予定無いのは知った事じゃないが、僕の家に溜まらないでくれないか」 「別に良いだろ」 「その『居て当然』みたいな視線が腹立たしい」 「いいんだよ、今予定実行してる最中なんだから」 「?さっきもそんな事を言ってたな」 「だから、毎日石田の家に行って意味も無くごろごろして自堕落に過ごすのが俺のGW最大の予定なんだよ!」 「それはお前が勝手に作った脳内スケジュール帳に書かれてるものだろうが!帰れ馬鹿!!」 「痛ッ お前だって自分に予定が無いから俺を放り出さねえんだろうが!気付いてねえかもしんねえけど何気にもう3日通ってんだぞ!36時間も放置プレイされてるこっちの身になってみろ!!」 「うるさい知るかッ!どうして勝手に居座ってる奴の相手なんかしなければならないんだ!?それにGWはまだ前半、明日明後日は学校があるんだから遊びにかまけていたら定期テストの勉強に身が入らないだろうが!」 「だから俺と遊ばねえのか!」 「遊ぶ?」 「遊ぶ」 「……え、君、僕と遊びたかったの?」 「そうだ!」 「…いや、だって。そんな事一言も言わなかったじゃないか」 「察しろよ!3日間アピールし続けてたんだからそれとなく察しろよ!!」 「人間はな、黒崎。口にしないと分からない事が沢山あるんだ」 「……………俺と一緒に遊んで下さい。」 「よし、いいだろう」 とか考えてたらいつの間にかGW終わってた 2012/04/09 自分は今、どんな表情をしているのだろう。普段は滅多に見せない飛び切りの笑顔だろうか、それとも苦虫を噛み潰し無理矢理嚥下したかのような、そんな顔か。 先程から何も言おうとしない彼は、表情を消したまま此方へと足を向ける。その速度はけして速いものとは言えないのだから、早く逃げれば良い。なのに、足が地面に縫いつけられたかの如く動かない。微かに視線が交差したブラウンの瞳は心なしか微笑っていて、本心が全て見透かされているような、そんな気がした。 最終章で雨竜がワケ有り裏切りしたらどうしようという不安からの産物。けど多分黒崎がなんとかすると思う 2012/03/15 「?何でそんなに疲れたような顔してるんだよ」 「そんなことないと思うけど……あ、鏡取って。鞄の中に入ってるから」 「最近じゃ女子ですら鏡を持たずに携帯画面の反射を用いて代わりにしてるってのに、手鏡持ち歩いてる男子高校生なんてハンカチと並んで絶滅危惧種だぞお前…」 「そう?有沢さんは持ってたと思うけど」 「はー、イメージねぇな…」 「酷い男だね君は」 「何でそうなるんだよ」 「解らないならいいよ」 「引っかかる物言いだな…」 「そんなことよりほら、全然疲れてなんかないじゃないか。至って健康だ」 「眉間の皺、増してんぞ」 「いつもこれ位だろう」 「違ぇよ」 「何でそう言えるんだよ」 「俺が普段どれだけ石田を見てると思ってんだ」 「そんなカミングアウト聞きたくなかったよ、怖いな」 「引くなよ、俺だって自分で言っててストーカーかよってツッコみたくなったんだから」 「ほら認めた」 「だああもう茶化すな!」 「ふふ」 「…昨日なんかあったのか?」 「…ほんとにストーカーなんじゃ…」 「その目を止めろ!お前先月3月14日は用事があるって言ってただろ?」 「ああ何だ覚えてただけか。君記憶力悪いからすっぽ抜けてるのかと」 「抜けてねーよ。だから昨日お前がさっさと帰ってたの止めなかったんだろ」 「見てたのか」 「屋根の上で飛廉脚はお勧めしねえぞ」 「急いでたんだよ」 「何処まで?」 「家。生家の方」 「実家か?食いもんでも取りに行ってたのかよ」 「…君の中での僕がどんな人間なのかはよーく分かった。」 「嘘嘘、嘘ですごめんなさい」 「………ハンカチ」 「あ?」 「今年はハンカチだった。去年はマフラー、一昨年はブランケット」 「何の話だ」 「父の誕生日プレゼントだよ、まあそんな大層な物じゃあないんだけど」 「や、石田の作った物はそれ相応だろ」 「…恥ずかしい奴だな君は」 「なんでだよ」 「と、兎に角っ!……僕は顔も見たくないんだ。でも、習慣みたいになってて」 「止められない止まらないと」 「スナック菓子みたいに言うな」 「ハハハ」 「目が笑ってない!ああもう何で実家に帰るだけなのにあんなに神経すり減らさなくちゃならないんだろう…!!」 「そりゃお前お父さんと折り合い悪いからだろ」 「そんなの分かってるよ馬鹿!本当なら去年で終わりにしたって良かったんだ、でも竜弦が…」 「え、石田も貰ってんのか?」 「そう、毎年ね。一人暮らしを始めてからは6日の夕方に郵送で送られて来る」 「へぇ」 「突き返したいんだけどさ、送られてくる物が的確なんだよ。欲しいけど手が出ない暖房器具とか」 「そりゃ返せねえな」 「そうなんだよ…」 「でも不思議だよなぁ、話はしねえのにそういう事はしてんだから」 「うん、変だよね」 「プレゼントが変なんじゃなくて話をしないのがおかしいっつってんだよ、それネタにすりゃ多少は会話になんだろ」 「え?無理無理」 「諦めんなよ」 「喧嘩になるのが目に見えてるから」 「いや大丈夫だろ」 「その自信は何処から来るんだ?」 「お前の見てない所からだよ」 「だ、だったら!…君もついて来てくれ」 「え」 「一人で行くと家が爆発しそうなんだ、どうせ撃ち合いになるだろうから」 「……あの人から実質役立たず認定を受けた俺を連れて行ったって、何の足しにもなんねえよ…。」 「ちょっと待って僕の知らない間に何があったの」 パパ誕生日おめでとうでした! 石田親子が無言でプレゼントの贈り合いしてたら可愛いなっていう願望 |