story | ナノ

第一話「始まりの音」


BGM:暗いもの

01_奏鳴01「要らない…家族なんて要らない…」

02_奏鳴02「要らない…友達なんて要らない…」

03_奏鳴03「要らない…私なんて…要らない…っ!」

(飛び起きる)
SE:擦れる(強め)

04_奏鳴04「……っ…!はぁ…はぁ…何…今の夢……」


場面:リビング
BGM:穏やかなもの
SE:食器、階段を下りる

05_奏鳴05「……お兄ちゃん、おはよう」

06_和鳴01「あ、おはよう奏鳴。今日は体調どう?」

07_奏鳴06「うん…何だか変な夢見ちゃって…。良くもなく悪くもなくって感じかな…」

08_和鳴02「そっか…。だったら学校には行けるな」

09_奏鳴07「うん…。!わぁ!今日の朝はプレーンオムレツなんだね!」

(椅子を引く)
SE:椅子、座る

10_和鳴03「タンパク質を摂らないとな!」

(椅子を引く)
SE:椅子、座る

11_奏鳴08「ふふっ…栄養バランスありがとうございます」

12_和鳴04「いえいえ、どういたしまして」

BGM:少し悲しげ
SE:紙

13_和鳴05「今日の体育も見学な。はい、保護者代理の判子」

14_奏鳴09「うん…ありがとう…」

15_和鳴M06(うちの両親は共働きで、朝から晩まで働いているから滅多に顔を合わせることはない。)

16_和鳴M07(それは僕達が小さい頃からそうだったし、それが当たり前のように育ってきた…)

BGM終了
SE:チャイム、椅子

17_奏鳴10「…あ!虹架かな?」

18_虹架01「なる兄〜!奏鳴〜!学校行くよ〜!」

19_和鳴08「…ははっ、正解だな」

場面:通学路
BGM:楽しげなもの

20_虹架02「おっはよ〜奏鳴〜!なる兄もおっは〜!」

21_奏鳴11「うふふっ…おはよう虹架。今日も元気ね」

22_虹架03「奏鳴の顔色がいいから私の元気も5割り増しくらいだよっ!」

SE:靴音

23_南雲01「ったく〜…朝からうるせぇよ虹架〜…」

24_和鳴09「あ、南雲。おはよう」

25_南雲02「これはこれは和鳴くん。おはようございます」

26_和鳴10「ふはっ!何だそれ」

27_南雲03「気にしなさんなって!よっし!今日も元気に登校しましょうね〜!」

28_虹架04「南雲が言うと気が抜けるんだけど〜!」


29_和鳴M11(僕の名前は鈴音和鳴。で、こっちが妹の奏鳴。生まれつき体が弱くて二十歳まで生きられればいい方だって言われてる。)

30_和鳴M12(で、こっちの元気が有り余ってるのが一色虹架。小学生の頃から奏鳴と仲良くしてくれてる。)

31_和鳴M13(そしてこのしゃんとしないのが東雲南雲。一応幼なじみってやつで、気付いた時にはこうして連んでた。)

SE:靴音

32_虹架05「今日の調理実習楽しみだね、奏鳴!」

33_奏鳴12「うん。上手に作れたらいいな〜」

34_南雲04「え!なになに?何作んの?もち(ろん)俺の分もある系だよね?」

35_虹架06「南雲の分なんてありませんよ〜だ」

36_南雲05「なぁんだよケチだな〜!いいさいいさ!奏鳴は俺の味方だもんな?」

37_奏鳴13「…えっ?!え、えっと…」

38_虹架07「奏鳴の取ったらなる兄の分もなくなっちゃうでしょ〜!」

39_南雲06「なっ…!俺に女神はいないと言うのか…っ!……なる…俺待ってるから!」

40_和鳴14「はいはい。何作るのか知らないけど、一欠片くらいなら恵んでやるよ」

41_南雲07「おぉ…っ!こんな私めにお恵みをいただけるとは…!さすが和鳴様…!」

42_和鳴15「…おだてても課題は写させないぞ」

43_南雲08「ぁん!いけずっ!」


45_和鳴M16(何気ない日常。こんな日々が少しずつ形を変えながらも、ずっと続いていくと思ってた。)

46_和鳴M17(明日が来る保証なんて、どこにもないのに……)

場面:教室
BGM:騒がしいもの
SE:手を叩く

47_南雲09「なる様〜!このとおり!一生のお願い!課題写させてくださいっ!」

48_和鳴18「はぁ…。お前の一生のお願いを僕は一体いくつ聞いてきたのやら」

49_南雲10「俺は不死身だから一生のお願いも無限大なんだよ!」

50_和鳴19「意味がわからない。ったく…これで最後だからな!」

51_南雲11「よっしゃあ!いや〜!持つべきものは親友だな〜!よっ!なる君格好いいよ!」

SE:布を叩く

52_和鳴20「……恥ずかしいからやめろ」


53_遥翔01「………っ……チッ……」

場面:グラウンド
BGM:静かなもの
SE:靴音

54_女子A01「……鈴音さん今日も見学だってさ…」

55_女子B01「まじで〜?まぁ軽い運動も出来ないのにマラソンなんて無理に決まってるよね〜」

56_女子A02「いいなぁ〜無条件で見学出来るんだもん。私も見学してたいわ〜」

57_奏鳴14「……………………」

SE:走る

58_虹架08「奏鳴!」

59_奏鳴15「?!……虹架…」

60_虹架09「私頑張って一番にゴールするからさ!応援しててね!」

61_奏鳴16「………うん…っ!頑張ってね、虹架!」

62_虹架10「ありがと!それじゃあ行ってきます!」

SE:靴音(だんだんゆっくり)

63_虹架11「……お願い…奏鳴に聞こえるように言うのだけはやめて…」

64_女子A03・B02「「………っ……」」

場面:教室(放課後)

65_遥翔M02(…あぁ…イライラする…どいつもこいつも…どうしてこうなんだ…っ!)

SE:靴音

66_南雲12「なる〜帰ろうぜ〜」

67_遥翔M03(…だがまぁいいさ…この生活も今日までだ…)

SE:ファスナー、椅子

68_和鳴21「あぁ。…なぁ、南雲。最近やたらと盛り上がってると思わないか…?」

69_南雲13「んぁ?例の幽霊の噂のやつ?」

BGM:怪しげなもの

70_和鳴M22(最近、中等部からとある噂が広まっている。ここ、高等部にまで伝わる程の…)

71_和鳴M23(噂によれば、夜の校舎に幽霊が出るらしい。)

72_和鳴M24(けれどいくつかの目撃情報には、少しだけ違う点があった。)

73_和鳴M25(それは…ある人は黒髪の女の子だったと言い、またある人は真っ白な髪の女の子だったと言うということ…)

74_和鳴M26(だけどそんなオカルトじみたことに興味のない僕は、そんな話これっぽっちも信じてはいなかった)

75_和鳴M27(……だけど…)

76_和鳴28「……何か嫌な予感がするんだよな…」

77_南雲14「んなことより早く帰りましょうぜ〜。奏鳴と虹架も待ってるだろうしさっ!ほれっ!歩いた歩いた!」

SE:布擦れ、靴音

78_和鳴29「わっ、ちょ!南雲っ…押すなって…っ!」

79_和鳴M30(……まぁただの予感で終わってくれることを願うしかないよな…)

80_遥翔04「…………ふっ……」

場面:昇降口
BGM:静かなもの
SE:靴音

81_虹架12「んもー!なる兄も南雲もおっそーい!」

82_南雲15「俺は悪くないです〜!和鳴くんがもたもたしてたんです〜!」

83_虹架13「そんなのどっちでもいいし〜!」

SE:靴音

84_奏鳴17「……?お兄ちゃん?」

85_和鳴31「ん?どうした?奏鳴」

86_奏鳴18「…何か考え事?心なしかぼーっとしてるような…」

87_南雲16「なんだよ〜まだ気にしてんの?」

88_奏鳴19「…?…何かあったの?」

BGM:怪しげなもの

89_和鳴32「…いや…奏鳴と虹架は…最近流行ってる噂、知ってるか?」

90_虹架14「噂って…中等部の幽霊のこと?」

91_和鳴33「そう、それ」

92_南雲17「にしても噂とか興味ないなるが珍しいな。なんか心当たりでもあんの?」

93_和鳴34「…ん〜…心当たりってわけじゃないけど…変な胸騒ぎがするんだ…」

94_奏鳴20「…お兄ちゃんの勘みたいのって昔からよく当たるもんね…なんだか怖い…」

SE:靴音

95_虹架15「え〜!でも高等部の私達には関係ないじゃん!怖がらなくても大丈夫だよ、奏鳴!」

96_奏鳴21「…う、うん……」

BGM:楽しげなもの

97_南雲18「あ、そいやぁ調理実習どうだったん?何作ったんだよ〜?」

SE:袋

98_虹架16「ふっふ〜!クッキーだよー!ココアとか抹茶とかチョコチップとか〜、自分の分は好きなように作ったんだ〜♪」

99_奏鳴22「小さめに作ったからたくさんあるよ」

SE:袋を振るような

100_南雲19「おぉ〜!さっすが奏鳴は頭いいな〜!ん?何だこれ?歪な三角だな〜!」

101_虹架17「そ、それはハートにしようとして…っ!」

102_南雲20「ぶはっ!残念すぎんよ虹架さ〜ん!」

103_虹架18「う、うるさい!文句言うならあげない!」

104_南雲21「おゎっと!ごめんって!んな寂しいこと言うなよ〜!」

105_奏鳴23「ふふっ…も〜二人とも〜…!」

BGM:悲しげなもの

106_和鳴M35(いつも通りの光景を目前にしても、僕の胸騒ぎが消えることはなかった)

107_和鳴M36(自分でも説明は出来ないんだけど…なんて言えばいいのかな…)

108_和鳴M37(…そう…空気が…空気が重い気がするんだ…)

109_和鳴M38(僕の中の何かが僅かな警報を鳴らしているような…そんな気がする…)

110_和鳴M39(この日常が消えなければいい…僕が願うのは、ただ…それだけ…)

2/8
prev top next
template by crocus
「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -