ぷかぷかと、意味もなくただただ顔を出して浮いていた。

…参った。迷子だ。

住家の海で、なんとなーく浮いていた
…のは4時間前。
もう諦めている。
涙が出たかなんて、海のせいで分からず仕舞いだ。

寂しい、怖い、孤独

動けなくて、動きたくなくて
仕方なかった。

そんなとき、だった。
浜辺にたくさんの陸上動物たちが現れたのは。
そしてなんと、その動物たちは煙に包まれたかと思えば異形の何かに変身した。

(…なに、してるんだろう)

それらは、浜辺で楽しそうに笑っている。

…うらやましいな。
私も、笑いたい。
でもきっと誰も私がいなくなったことに気付かず、遠いあの海を泳いでるんだろうな

そう思うと鼻の奥がツンとした。

すると、ラビットサーブ!!という声と共に浜辺近くからドッと見たことないくらい大きな水しぶきが上がった。
そのままぼーっと観察をすると、人間らしき人の頭にボールがバウンドし、私の方向へ飛んでくる

(う、わあああ!!)

急いで逃げようとすれば、強い風波で流されてしまった。

もうやだ…と胸中で呟くと、疲労感がずっしりと襲ってきた。
眠いなぁ…

ふぅ、と息を吐いて再び動物たちのいる浜辺へ向くと何やら叫んでいる様子。
動物たちの視線の先には…
…さっき動物たちの群れの中にいた綺麗な人が溺れていた。

ボールが云々、と私に聞こえたとき私の眼前にはふよふよと浮かぶボールがあった。

どうやらぴょんぴょん飛ぶ人?と図体のでかい動物が連携プレーをして助けたようなので、私はボールを流れないよう注意しながら鼻先で押して浜辺へ持って行くことにしよう、
そう決めた。


−−−


浜辺着!

頑張ったよ、私。
風波が邪魔で仕方なかったけれど、無事着いたのでよしとする。
…太陽が沈みかけてはいるが

そして、さざ波が届かない程度の砂場の上にボールを乗り上げさせ、動物たちを横目で見てから海に帰ろうとした。

帰ろうと、した…はず

「ウミガメ踏んでるー!?」

「ちょ、園長!野生をいじめちゃだめですよ!」

わいわいがやがやと騒がしくなった周り。
えんちょーさん?を宥めているようだ。
というかなんか重いって思ったら踏まれてたんだ…うん、相変わらず重っぐぇ







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