しっかりと日を改めてヒーローの試験へ向かったサイタマさんとジェノスさん。なので家には誰もいない。おかげで私は暇をしていた。
「んー今日はバイトないけどなぁ行っちゃおうかなぁ…でも留守番しなきゃなぁ…」
試験が終わるまで帰れないようなので、帰宅は恐らく日が暮れてからだろうとジェノスさんが言っていた。なんだかテレビを見る気にもなれない。
人間たちはゲームをこういう時、やるんでしょう。私知ってるのよ。
早速物色すべし!と部屋を探索しにかかると背後から突然ドロン!と音がした。
「久しぶりです、名前サン」
「めっメフィスト様!貴方様のせいで私死にかけっ」
「そうギャンギャン喚かないでください」
もわもわとピンク色の煙が消えていく。
メフィスト様は私の頬を片手で挟んできた。デジャヴ!
「ははひへふらはい」
「どうです、この世界は悪魔には暮らしづらいですか?」
「うへっ…え、えっと、私の他に今のところ悪魔はいないようです。それどころか魔障が無くとも見える癖に悪魔を信じてすら…」
「ナルホド。…この世界には悪魔とは別のものが存在するようだ」
「はい。怪人とか、聞くところによると地底人とか。それを倒すのがヒーローの人達で、まさに悪魔と祓魔師みたいな感じです」
──あと、怪人は元人間がほとんどらしいです──
それを聞くと、メフィスト様は「我々の世界で言う悪魔堕ちですね」と興味深そうに笑む。
メフィスト様は私の上司の兄、というような関係上にあるので下手に口出しできないし貴方様が座ってるところはテーブルだからサイタマさんにバレたらぶっ飛ばされるのでやめてくださいとも言えない。もどかしい。
「悪魔と怪人は違う、と決定付ける印は無かったんですか?」
それからキョロキョロと辺りを見回したり物色していたメフィスト様は私に問うてきた。
「特に無いと思うんですが、でも怪人は作り出されたりするようですし…虚無界の事も知らないんじゃないかと…」
虚無界とは、私達悪魔の世界だ。反対に、人間達の住む世界を物質界と呼ぶ。なんでそう呼ぶのか知らないけど多分大昔の偉い人がそう言ったんだと思う。
「それは名前の憶測に過ぎないデショウ。そういった点を調べろと言った筈ですが?今まで何をしていたんですか?」
「えっ…言いました?因みに今は花屋でバイトしてます」
そう告げると頭に拳骨が飛んできた。
「!!?…ッ!?!!?」
「ハァ…アマイモンのペットは本当に…低俗と言えばいいのか…」
「だ、だってそんな前のこと覚えてませんし…物質界でも虚無界でも無いところに飛ばされるなんて思ってもなかったんでロクに話聞いてなかったですし…」
ゴン!とまた拳骨…では無く肩パンされて蹲って倒れた。
ああありえないくらい痛い!!!
「うぅおおお…!!!」
「これ以上は無理か…今度、他の調査団をここへ送るので貴女はその人達へこの世界の説明をしなさい。イイですね」
「う、はい…」
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ヒーロー試験受けに言ってる間にクロスオーバー要素を入れようとしたけど続きが思いつかなかったためボツ