毒の花 | ナノ
ヒーロー3人組がうろつきながらも着々と私に近付いて来ていたので慌てた私はすぐ近くにあった建物へ身を潜めた。だが私は慌て過ぎて忘れていたのだ。この建物に人がいるかの確認を。
「きゃっ…!」
「あ…ああ…!あの!違うんです!私怪人じゃなくて、けど勘違いされて今追われてて、反射で逃げちゃってそのあの…………匿ってください…」
「あら…あらあら!そう…なの?別にいいけど…面白い人ね。それより…その頭のお花、綺麗ね。見せてくれるかしら?」
どうやらこの人は能天気というか、マイペースな性格なのか。私の話より私の頭にある花に興味がいったらしく、ずっと見てきたし私の話には深く聞いてこなかった。
そこで気付く。ここは、花屋か。周りは様々な植物で埋め尽くされてる。
「バイト…募集?」
「え?ああ、そうなのよ。ここ、私の自営業なんだけどね、人手が足りなくて…良かったらお嬢ちゃんやってみない?なーんて」
すごいわねぇ立派ねぇ何のお花かしらなんて言いながら花をぺたぺた好きにさせながら店内を見ているときに一瞬で目に入ったレジ付近の張り紙。これはチャンスだ!鼻をほじりながら人をニートだなんだと馬鹿にするあのハゲを見直すチャンスではないか。
「や、やります!やりたいです!」
「あら…本当にいいのぉ?いてくれると私も助かるんだけど…じゃあ、そうねぇ本当は履歴書とか持ってきてもらうんだけど…持ってきてもらうだけ無駄だし、免除しましょうか」
「り、リレキショ…?よく分からないので助かります!植物の事なら分からない事ないも同然なので、こんな良い所あるとは大助かりです」
お互い名前も知らない間柄なのだけど、こんな簡単にお仕事というのは見つかってしまうものなのね。私って天才?人間の雇用関係とは簡単に成り立つものと見なして良いのだろうか。良くない気がする。やっぱり私が天才だからなのかな。
それにしてもこの人、とっても抜けている人なんだろう…心配になってきた。
「あら、そういえば名前は何ていったかしら?」
「……ハナコです」
「ふふ、私はミヤギよぉ。よろしくね」
やはり心配だ……
一先ずミヤギさんの差し出してきた手を握り、家へ帰る手土産が出来た事に歓喜する。
「ああ、そうだ。今日スーパーの特売日なのよね。いけない、忘れてたわぁ」
思い出したように焦って支度をするミヤギさんに、おずおずと手伝いましょうか?と言うと、驚いたようにいいの?と言われた。いいですとも。雇っていただいたお礼です。
「じゃあ、親睦を深めながらいきましょうね」
「そうっすね!」
結局その帰りには特売の戦利品を分けて頂いてより一層歓喜することになるのだ。お手伝いって素晴らしい。