毒の花 | ナノ
うんうんと唸って考えるジェノスくん…な訳もなく、視線をテーブル上の湯呑に合わせてから全然動かない。私もサイタマさんも無言だ。そりゃそうだ。なんか邪魔しちゃいけなさそう。
茶菓子でも出すかな何があったかなサイタマさんだけフガシでいいかなと思い腰を上げると、ジェノスくんが「先生」と漸く口を開いた。
「言葉をまとめてきました」
続きが気になり沈黙の中折角耐えていたんだし、と上げた腰を再び降ろす。
「先生のように強くなる方法、教えてください」
「ふむ…ジェノス」
「はい!」
さっきのクソ長い話はどうなったんだめちゃくちゃいらない話だったじゃんか、なんて思い愕然としてる私を置いてサイタマさんとジェノスくんの会話は続いて行く。おいちょっと待ってくれよ。
「お前いくつだ」
「19です!」
「若いな…お前ならすぐに俺を超えれるだろう」
「本当ですか!」
「俺は今25だけどトレーニング始めたのは22の夏だった」
「!!?」
ジェノスくんは何に驚いているんだ。というか先生のように強くって、サイタマさんが先生?ていうかサイタマさん強いの?ハゲなのに?んん?私の目からはどうしてもジェノスくんの方が強そうに見える。喧嘩したら2秒で負けそうだ。サイタマさんが。
「教えてやってもいい…だが辛いぞ。ついてこれるのか」
「はい!」
何を教えるんですか…!?サイタマさん何者!?ジェノスくんもサイタマさんごときに教えを乞うなんてどうかしてる!実際になんか高速接近反応がうんたらかんたら言ってるし!意味わからんこわ!イケメンだけど!
そしてその刹那、いきなり崩壊した天井の瓦礫が真上から落ちてきた私は瓦礫の下敷きになってしまった。
ケーケケケ!とか天井弁償しろとか、色々聞こえるけど一番気になったのはガチャ、という扉を開ける音だ。待て。待て待て待て。それはもしや玄関の扉じゃ、と思ったのも束の間、バタン…と扉は閉まった。
………?
はい!生き埋めです!埋められてませんしこれくらいじゃあ死なないけどサイタマさん許さないから!ジェノスくんはイケメンだからまぁいい…とか言うかボゲ!どっちも許さんわ!こんなん簡単に退けられるけど帰ってきた二人に罪悪感埋め込むために放置しときます!ってのは建前でちょうど頭に瓦礫落ちてきたせいで意識モーローとしてます!何言ってるのか私も分かりません!早く誰か帰ってきて!