自分でも驚くほど心臓の音が早く大きく聞こえて。
できれば先輩に聞こえてなかったらいいな、なんて思った。

先輩、ちゃんと聞いててくださいね。
NOと言われるのが怖くて今まで言わなかったんですよ、わかってますか。
俺、しつこいって言いましたけど更に言うとビビりなんですよ。
けどさすがに今言わなきゃいつ言うんですか。
正直なところ今、頭の中がワケわかんなくてちゃんと文章になるか怪しいけど許してくださいね。

小さく息を吸ってから、すぐそこにある先輩の目をただただじっと見つめた。
そして先輩の制服の裾を緩く掴んだ。



「せ、んぱい…」
「ほら言ってみろ」
「俺今先輩しか見えないです。他に何も見えないです。」
「うん、で?」
「最初の日に先輩に言うたこと覚えてますか、俺に落とされてくださいって」
「あぁ」



なんかあれから毎日好きです好きです言うてたなあ。
そら聞き飽きるよな、すんません。
でも今から言うことは初めての言葉やから新鮮やと思います。

お願いやから、一字一句も聞き逃さないで。



「先輩、そろそろ俺に落ちてくれましたか。俺はどうしても大河内柚綺先輩、あなたじゃないとダメです。俺の…俺だけの先輩に、恋人になってください。」