しばらくの間、少し後ろを俯きながら歩く。
何を言おうか。何から言おうか。
助けてくれてありがとう?
言いたいことがありすぎて言葉にならない。

ぐるぐる考えていると突然足を止めたらしい先輩の背中にぶつかった。
すぐ離れようかと思ったけどちょうど目の前に先輩の肩があって。
コテンと頭を乗っけてみたが、怒られなかったのでそのままにしておくことにした。



「せんぱーい、ちょっと聞いてください」
「何だよ」
「俺、やっぱ先輩のこと好きちゃうかったみたいですー」
「…は?今更それかよ」
「いやほんま、好きどころか…意味分からんくらい大好き過ぎてもう俺、死にそうです」
「はっなんだそれ」
「先輩、好きー。好き好き好き、めっちゃ大好きで…っす」
「泣くか喋るかどっちかにしろ」



意外と涙もろい俺はずっと堪えていたものが限界に達して、うっかり先輩の肩を濡らしてしまった。
あかんあかん。先輩が困るやん、先輩が怒るやんとか思いつつも溢れだしたものは止まりそうにもなくて。



「先輩、」
「お前ばっか喋ってんな」
「へ」



突然肩が動いて頭がガクリと落ちた。もうそこは空気読んでくださいよーと言おうとしたが、先輩はくるりと振り返っていつのまにか向き合う形になっていた。



「せん、ぱい…?」



ズベシッ



「い゛っ!!!」



え、今…何が起こりましたか。
変な音と同時に頭がぐわんぐわんゆうてますがなんやろこれ。
恐る恐る顔を上げるとそこには、なんだか機嫌麗しくない先輩がいて。