「やった、じゃあ俺猛アタックします。やから先輩、」



サラサラと出てくる言葉、こんなにストレートに言うてもてアホちゃうか。
でもこんなにも溢れそうな想いを抱えたままに出来るほど余裕なんかなくて。



「俺に落とされてください。俺、なかなかしつこいから覚悟しといてくださいよ〜!」
「あそ、勝手にしろ」
「勝手にしまーす。あ、そろそろ教室戻らんと!これ片付けとくんでどうぞお先に!」
「え、ぁあ」



名前を呼ばれた、追い掛ける許可を貰った、ただそれだけのことで世界が急に光を放ち始めた。
意味がわからんほどキラキラと輝いて、今なら何でもできる、そう思った。



食堂を出ていく先輩を見届けてから、2人分のトレイを食堂のおばちゃんに渡す。



「遊依くん、今日はえらく楽しそうね〜」
「うん!おばちゃん!恋は偉大やな!ごっそさん!」
「はいはーい」



いつもなら面倒なだけの階段も意味もなく2段飛ばしとかしてみたりして。
気付いたら自分たちの教室の階をスルーして屋上に辿り着いていた。



「あれ、調子乗りすぎた?まあえっかー!テンション上がったら眠なったし、サボりやサボりー!」



午後の授業開始のチャイム後、誰もおらん屋上で大声を出す。
そして一番陽の当たるところに寝転がって目を閉じる。
そしたら先輩の顔が浮かぶ。
いや〜、やっぱかっこいいわ。

いつか名前で呼ばせてくれるかな。
いつか好きになってくれるかな。
いつかは隣を歩いて、手繋げるかな。



半分睡眠モードに入った頭で想像、いや妄想する。
そして無意識に呟く。というかほとんど寝言みたいなもんやけど。



「せんぱ、い…ほんま、めっちゃ好きー……スー…」



風がなかなかいい感じに気持ちいい。いい夢が見れそうや。