師匠からの命で一足先に成都に戻った私から数日遅れて、今日玄徳さんが成都へと戻って来た。
お出迎えする為に城門へ向かうと、もう既に玄徳さんは到着していて沢山の人と言葉を交わしているみたいだった。

「玄徳さん!」

私が名前を呼ぶとそれに付いたらしく、玄徳さんはこちらへと走って来た。そして私の前で立ち止まると、いつもと変わらない穏やかな表情で笑いかけてくれた。

「花、ただいま」
「おかえりなさい、玄徳さん。あの、先に帰ってしまって本当にごめんなさい」
「ああ、良いんだ。お前がちゃんと成都に戻って来てくれたのならば、それだけで俺は十分だ」
「えっ…」
「さあ、城へ戻ろう。孔明に報告したいこともあるからな」

大きな優しい手で私の頭を撫でながらさらりとそんなことを言う玄徳さんに、つい私の心臓は大きな音を立ててしまった。きっと玄徳さんに他意はないんだろうけど…そんな風に言われてしまったら、意識してしまうのも仕方ないよね。

平静を装って玄徳さんの隣を歩いていると、ふと横から視線を感じた。その方向を見ると、玄徳さんが私の顔をじっと見て、何かを考えているようだった。

「あの、玄徳さん…?」
「っ、ああ、済まない」
「私の顔に何か付いてます?」
「いや、そういうことではなくてだな…」

そこで一旦言葉を止めて、玄徳さんは考える素振りを見せた。そして、何かを決めたかのように再び話し始めた。

「もしかしたらいつかお前が孟徳殿や仲謀殿のもとへ行きたくなるのではないかと思ってしまってな」
「私はずっと成都にいますよ」
「――っ」

玄徳さんの言葉に、私は即答した。その様子に玄徳さんはとても驚いているみたいだった。
きっと私が迷わずにそう言ったのが意外だったんだろう。だけど、私にとっては迷う理由なんてどこにもない。だって私は――

「花、それはどういう…」
「…内緒、です」

私の答えの理由を聞いてきた玄徳さん。だけど、今はまだ答えられない。

私がもっと色んなことを学んで、少しでも玄徳さんのお役に立てるようになったら、玄徳さんに相応しい人間になれたと思ったその時に伝えたいんだ。


――玄徳さんが好きだからです、って。






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一応PS2版特典CDの後日談妄想だったりします。ノーマル残留ED後で玄花です。
CD聞いてたら玄花妄想が止まらなくて(笑)玄徳が無意識に花好きでっていうのが伝わって来てにやにやしました←
ノーマルED後は早くくっつけば良いのになと思っていたり。
タイトルは恋したくなるお題様よりお借りいたしました。