「錫也、これはこの上にしまえば良いの?」 「ああ、でも無茶はするなよ」 「大丈夫だよ〜錫也は心配性なんだから」
そう言って月子は笑う。そして棚の上に物をしまい始めた。 今日は我が家の大掃除。日頃からある程度は綺麗にしているからそこまで掃除する箇所はないけど、やっぱり普段あまり手を掛けていない場所はそれなりに汚れていて。そこを重点的に俺達は掃除をしていた。
なるべく月子には負担を掛けたくはないんだけど、それを言って聞いてくれるあいつではない。月子は何事も平等にやりたがるから…料理以外は。頑張るのは良いことだと思うんだけど…無理して怪我なんてされたらと思うと、俺は心配でならない。
掃除機を取りに一旦廊下へ出て再び部屋に戻ってくると、月子が自分の手の届くか届かないかという高さの棚に物をしまおうとしているところだった。背伸びしてしまおうとしているけど…ちょっと危ないかな。
「わ、あ」
そう思った矢先、月子がバランスを崩した。俺は掃除機を置いて、駆け出す――月子が転ぶと感じた瞬間、体が動いていた。
「…俺の寿命を縮めるなよ」 「す、ずや」
俺は転びそうになった月子を後ろから支える形となった。取り敢えずこいつに怪我がなくて良かった…大きな溜息をひとつ吐くと、俺の方を向いた月子が驚いたように俺の名前を呼んだ。
「無理するな、って言ったよな」 「…ごめんなさい」 「まあ、お前に怪我がなくて良かったよ」
そのまま後ろから月子を抱きしめる。腕に力を込めると、何を感じたんだろうか、月子は一瞬硬直して、それから頬が赤く染まった。
「あのー…錫也サン」 「何」 「この、体勢は…」 「逃がさないよ」
俺から逃れようと身じろぎしようとする月子の耳元でそう囁いて、さっきより一層強く抱きしめた。すると、月子の顔は更に赤くなって――おとなしくなった。
「す、錫也…」 「俺の言うことを聞かなかったおしおきだよ。放っておくと無理する月子は離してやらない」
そう言って、少し長めのキスをする。互いの唇が離れた瞬間に、月子が少し瞳を潤ませて馬鹿、だなんて言うから我慢出来なくなってもう一度キスをした。
「だ、め…まだ掃除が…」 「言っただろ。お前が無理するなら離さないって…」
甘いおしおき
(もともとお前を離すつもりなんて、ないけれど)
**** 今回のテーマは「大掃除」にしたのですが…なんぞこれという出来になってしまいしました^q^錫月だとEROの方向に走ってしまいそうで怖いです← 東月家では大掃除もおせち作りも全て旦那がやってしまいそうな気もしますね(笑)
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