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「ん…」

カーテンの隙間から差し込んでくる光が眩しくて、俺は目を覚ました。部屋の様子がいつもと違うな、と不思議に思ったけれど、その理由にすぐに思い当たった――俺の腕の中にある優しい温もりによって。

「月子」

世界で一番美しい響きを持つその名前を呼ぶと、月子は一瞬身じろぎをした後、また気持ちよさそうな寝息を立てた。あどけない寝顔に、ますます愛しさが募る。

「夢、じゃないんだな」

昨日のことを思い出す。ここ最近ずっとすれ違ってた俺達は、漸くお互いの思いを全て知ることが出来た。それがとても嬉しくて、だけどもう我慢出来なくて――俺はそれ以上を求め、月子はそんな俺に全てを捧げる、と言ってくれた。

昨日感じた月子の想い、月子の熱――それを思い出すだけで、俺の心は満たされていった。
大切にしよう、と思ったけれど、俺はちゃんと出来ていただろうか?あいつに無理をさせはしなかっただろうか…少し不安になった。でもこれはきっと――幸せな不安だ。

「好きだよ、月子」

そう囁いて、額にキスを落とす。それでも月子は起きる気配がない。あまりにも眠りが深いから、俺はつい苦笑してしまう。
でも、そういえば…俺も昨日は久し振りによく眠れた気がする。ここ数日あんなにも眠れなかったというのに。

月子と言葉を交わせない日が続く程に、月子が俺を嫌いになってしまったんじゃないか、俺から離れて行くんじゃないか…そんな最悪の想像しか出来なくて、目を閉じるとそれが鮮明になるような気がして怖くて眠ることが出来なかった。

「本当に…俺はお前がいないと駄目なんだな」

月子の顔を見て、お互いに思っていることをぶつけて…月子も俺と同じように寂しくて不安だったこと、やきもちを妬いてくれたこと、そして――俺を変わらずに好きでいてくれること。それを知った瞬間、もう何も怖いものはなくなった。
月子が俺の傍にいてくれるなら、もう欲しいものなんてないんだ。俺という存在は――月子、お前によって形作られているのだから。

「…愛してる」

この想いを、どうやって伝えよう?好きだ、愛してるだなんて言葉じゃ足りない。溢れて止まらないお前への想いを俺は全て伝えたい。どんなに時間が掛かっても良い。だって、お前はずっと俺のものでいてくれるんだろう?

「…さて、俺はお姫様が目覚めた時の為に朝ご飯でも作りますか」

月子を起こさないように、俺はそっとベッドから抜け出した。未だ目を覚まさない愛しいその寝顔に、もう一度キスをする。


一日でも早く、月子の寝顔を独占出来る日が来れば良いのに。おはようもいってらっしゃいもおかえりもおやすみも――全部俺のものになる日が。それは何て幸せな願いなんだろう?

月子が一緒ならば、何でもない日々もきっと――俺にとっては何にも代えがたい幸福な日々になるのだから。


毎朝、ボクの横にいて。

(目を覚ましたお前は――どんな表情を見せてくれる?)



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ブログ再録。FDの某イベントにぴゃあああとなりカッとなって書き上げたものです←
タイトルはコ/ブク/ロの曲から。凄く錫也の心情に合っていましたので。





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