stsk | ナノ




『すずちゃん』


幼い頃から一番に俺の名前を呼んで、俺を頼ってくれることがどんなに嬉しかったか分からないだろう?その優しい響きに、俺が何度幸せな気持ちになったか知らないだろう?


『錫也』


俺があいつをどれだけ想っているか、その想いを隠し通すことにどれだけ必死でいるのか――誰も気付いてなんか…いないだろう?



「やっ…やめて…!」

目の前に飛び込んできた光景に、一瞬のうちに俺は冷静に何かを考えるということが出来なくなった。

「月子!」
「すず、や…」
「お前らごときがこいつに触るな!こいつに怖い思いさせやがって!」

月子に触るな月子を泣かせるな月子を傷付ける奴は絶対に許さない――心の中で抱えていた真っ黒な感情が爆発してしまう。

今までずっと月子の前で被っていた仮面が剥がれ落ちてしまう、と頭の中で警鐘が鳴っているのに、一度溢れ出してしまったものを堰き止めることなんて俺には出来ない。


もう自分自身を止めることも出来なくなって、俺は目の前にいる奴に殴りかかろうとしたその時――俺の身体を小さくてあたたかい何かが強く抱きしめた。

「錫也駄目!」
「つき、こ…?」
「私なら大丈夫だから…!」

だから私の為になんて怒ったりしないで、と今にも泣き出しそうな声が鼓膜に響いた。小さく震えるその身体を、今度は俺が抱きしめていた。

「月子…!」

ねえ、月子。お願いだから、泣かないでくれ。俺はお前を悲しませたい訳じゃない。俺なんかの為に泣いて欲しくはないんだよ。

俺は――お前を守りたいだけ。子供の頃からずっとずっとお前を守れればそれで良いと思っていた。そうなりたいと願ってきた。



その思いだけが――きっと今でも俺を突き動かしている。


君だけが、僕のすべて

(だって俺を形作っているのは、お前と過ごした日々なんだ)




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ブログ再録。FDフライングネタでちょっとヤンデレ気味錫也です。しかし公式は更に上を行ったという…(笑)でもそんな錫也が大好きです←





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