「おはよう将臣くん!DVD借りてきたから一緒に見よ!」


誰もがゆっくりと過ごすであろう日曜の朝、望美が連絡もなしに突然有川家を訪れた。妙にテンションの高い彼女の様子に、将臣は何も考えずにドアを開けたことを後悔した。


「おま…休みの日位ゆっくりさせてくれよ」
「何言ってるの将臣くん。休みの日こそ朝早くから行動しなきゃ!」


それはどこのリズ先生だ、と将臣は心の中でツッコミを入れた。そして、目の前の少女がこうなったらもう何を言っても聞かないということを誰よりも良く知っている将臣は、観念して貴重な休日を望美の為に費やすことにした。

「…で、何借りてきたんだ?」

そう将臣が尋ねると、望美は手に持っていたレンタル店の袋から一枚のDVDを取り出して見せた。それは最近話題になったSFものの映画だった。

「これ!ずっと見たいって思ってたんだ」
「それか。じゃあ、中入れ」
「おじゃましまーす」

家に上がるなり、望美はリビングへと駆けていく。はしゃぐ彼女の横顔に、そんなに楽しみにしてたのかと将臣は思わず苦笑した。



ソファーに隣り合って座り、望美が借りてきたDVDを見ている二人。その映画はSFものだけあって映像は迫力があり、それでいて話もなかなかに面白い。これは話題にもなるな、と将臣は思った。と、その時、不意に将臣は右肩に重みを感じた。

「…げ」

視線をテレビから移すと――自身の肩にもたれかかるようにして、望美が眠っていた。

「お前が見たいって持って来たんじゃなかったのかよ」

と呼びかけても、望美が起きる気配は一向にない。あまりにも無防備なその寝顔に、将臣は大きな溜息を一つ吐いた。

「ったく…襲うぞ」

そう耳元で囁いても、望美は目覚めない。それどころか眠りは深くなる一方で、将臣の肩に更に重みが掛かった。
安心しきったような望美の寝顔に、将臣はまた一つ溜息を吐く。信頼されているんだか、はたまた男として見られていないのか――正直複雑な心境だったが、望美相手にそんなことを考えること自体無駄なのだ、と将臣は自分に言い聞かせ、苦笑した。

「…まあ、今日の所はこれで勘弁してやるよ」

眠り姫さん、と将臣は望美の額に優しくキスを落とした。


ホリデイ

(――まあ、こんな休日も悪くはない)



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ブログ再録。ツイッター診断お題から。将望は最愛CPなので、これからどんどん書いていきたいところですね。





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