「望美、こんな所にいたのか」
「…九郎さん」
「弁慶にお前の姿が見えないから探して来いと言われたんだが…どうした」
「え?」
「何か迷っているような顔をしているぞ」
「っ…九郎さんにバレちゃうなんて、私もまだまだかな」
「おい!はぐらかすな!」
「はい、今迷っていることがありますよ…私が選ぶ選択が正しいのかどうか凄く、不安で」
縋るような気持ちで、九郎さんを見た。相も変わらず、その瞳は真っ直ぐで、穢れなくて。
「自分の選択を信じろ。お前が考えて決めたことなら、きっとそれが正しいのだろう。もしその選択に俺の力が必要ならば、手を貸してやるから」
「くろ…うさん…」
「ほら、そんな顔をするな。落ち着いたら戻ってこい。弁慶には俺が上手く言っておいてやるからな」
ぽん、と私の頭を優しく叩き、九郎さんはみんなのいる所へと戻っていく。
「…ばかな九郎さん」
そんなに簡単に、私のことを正しいと言って。これから私が何をしようとしているのか、全然知らない癖に。
このままだとあなたの命が危ないから、あなたのお兄さんと戦いますと言ったら、九郎さんはどんな顔をするだろう?怒るかな?それとも呆れるかな…
「信じて、もらえなくなっちゃうかな」
それが、一番こわい。
正解は何処に
(このまま進んで得られたものに、果たして意味はあるのだろうか)
***
ブログ再録。九郎が真っ直ぐで眩しくて綺麗で。そこが好きなのだけれど、自分には手が届かないと思っている望美、が私の中の九望像だったりもします。