「望美ちゃん、今日はまだ寝ないの?」

二人でベッドに並んで腰を下ろし、毎晩恒例となった、夜寝る前の語らいの時間。だけど今日はいつもと違う。普段ならばもうとっくに寝ている時間なのに、望美ちゃんはまだ話を続けたいようだった。
どうしたのかな、と思い、オレは彼女に問いかけてみた。すると望美ちゃんはふにゃりとした笑顔で

「まだ、景時さんとお話していたいんです」

と言った――何て可愛いんだ。急激に自分の中に湧き上がってきた衝動を必死で抑え、オレは何とか平静を装うことに成功した。
しかし、オレは多少寝なくとも平気だけど、これ以上寝るのが遅くなると彼女の方に支障が出るだろう。どうにか上手く望美ちゃんを寝かせることは出来ないだろうかと思ったその時、不意にあ、と彼女が声を上げた。

「望美ちゃん?」

どうしたのかと声を掛けると、彼女は身体ごとオレの方に向き直り――そして、こう言ったんだ。

「景時さん、お誕生日おめでとうございます」
「え…?」

望美ちゃんの言葉に咄嗟に反応することが出来ず、オレは間抜けな返事をしてしまった。すると彼女は

「景時さんの誕生日をどうしても一番にお祝いしたかったので…ちょっと夜更かししちゃいました」

と、まるで悪戯が成功した子供みたいに笑ってみせた。そこで、オレは初めて望美ちゃんが今日に限って遅くまで起きていた理由に気が付いた。それと同時に、心の奥底から物凄い勢いで愛おしさが込み上げてきて――今度はもう、抑えることが出来なかった。

「もー!望美ちゃんは可愛過ぎるよ!」
「わ、景時さん!?」

出来るだけ近くで彼女のことを感じたくて、その身体をきつく抱きしめた。この行為によってきっと望美ちゃんの顔はたちまち真っ赤になってしまっただろうと想像したら――よりいっそう愛しさで胸が満たされた。

「望美ちゃん、ありがとう…大好きだよ」

君とこうして一緒になれて、愛し合うことが出来て――本当に良かった。身に有り余るほどの幸せを噛み締めながら、オレは彼女への愛の言葉を囁いた。


Sweet midnight



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景時の誕生日をどうしても祝いたかったので、かなり急いで書きました(笑)景時にはとことん幸せになってもらいたいなといつも思っています。本当におめでとう!





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