平気じゃないのはたぶん僕
「ティアナ…」
何度呼びかけても彼女が起きる気配はない――もう何日もティアナは眠ったままだ。
『ティアナ…?ティアナ!』
あの日、ギリギリのところでティアナの呪いを解くことが出来て安心したのも束の間、ティアナは再び倒れてしまった。
もしかしてゲルダの薬の調合が上手く行かなかったのではないかと、目の前が真っ暗になった。だけど、その直後ティアナの規則正しい寝息が聞こえてきて…ティアナがただ寝ているだけだという事実に酷く安堵した。
『あ…!』
その時、ゲルダがしまった、というような声を上げた。また何かやらかしたのかと、瞬時に怒りの感情が込み上げてきた。
『…ティアナに何かしたの』
『ま、間違って、呪いを解除する薬に眠り薬を混ぜちゃって…』
『何だって!?』
『ひっ』
すかさず僕は持っていたナイフをゲルダに向けた。ティアナに危害を加える奴は女だろうが許してやらない。それに二度も彼女を危険に晒したかと思うと、もう我慢は出来なかった。
『おい、エリク落ち着けって!ティアナは眠ってるだけだろ!』
『でもこいつまた彼女に酷いことを…!』
『それよりも早くティアナを休ませてやらねーと!』
『っ…』
ルシアにそう窘められ、僕はナイフをしまってティアナを連れて帰る準備を始めた。だけど帰り際にティアナが目覚めたらきっちり落とし前付けに行くから、と言い残すことは忘れなかったけれど。
「…………」
さらさらのティアナの髪に触れ、そっと梳いた。彼女の寝顔はとても穏やかだ。何か良い夢でも見ているのだろうか?
「僕の夢を見てくれていれば嬉しいんだけど」
でも、それよりも早く目を覚まして欲しい。その綺麗な瞳に僕のことを映して欲しい。優しく笑いかけて欲しい。エリク、と可愛らしい声で名前を呼んで欲しい。そして、君に――触れたい。
あとね、君が言ってくれた様に、僕も君のことをもっと良く知りたいんだ。そして僕のことももっと知ってもらいたい。ずっと君と一緒にいたい。君がいない世界なんて、もう僕には想像も出来ないんだよ。
「だから、早く起きてよ…ティアナ」
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勢い余ってエリティア書いてしまいました(笑)ルートラスト付近の部分を自己補完してみました。エリク様半端ないです←
お題は恋したくなるお題様からお借りしました。