夜明け前、君と

エンドロールが流れているテレビの画面から目を離し、俺は隣にいる月子に声を掛けた。

「良い終わり方だったな…ってこいつ寝てやがる」

頬杖をついたまま、月子は規則正しい寝息を立てている。…ったく、一緒に見たいって言ったのはお前じゃねぇか。

「しっかし、間抜けな顔してんなぁ」

こくりこくりと動く月子の頭に手を伸ばそうとした瞬間、月子が身じろぎをした。目が覚めたと思い、俺は慌てて手を引っ込めた。

「お、きて…ないよな?」
「ん……」
「あー、驚かせんなよな」
「…かな、た」
「え…」

確かに聞こえた俺の名前。こいつの夢の中に俺が出て来てるんだと思って、急に嬉しくなった。我ながら、すげぇ単純だと思うけどさ。

「…寝てると可愛いのにな」

まあ、そのままでも可愛いけど。と内心思いながら呟いた。すると、俺の言葉が聞こえていたかのように、月子の眉間に皺が寄った。それがあまりにも可笑しくて、俺はまた笑う。

隣に月子がいて、こんなにも愛しくて穏やかな時間が訪れるなんて思ってなかった。俺は本当に幸せ者だ。

眠いけど、もう少しだけ月子の寝顔を見ていよう――この幸せを感じていたいんだ。



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拍手お礼文として置いていた哉月です。タイトルと話のイメージは藤田麻衣子さんの曲から戴きました。哉太の前だと対等といいますか言いたいことを何でも言っている感じの月子が好きです。





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