幸せの音

「陸〜これどこにしまうんだっけ?」
「えっと、それは向こうの棚の一番上かな」
「分かった」

明日、真緒姉さんが退院するのに合わせて、私と陸は家の掃除をしている。沙那と加奈は境内の方を掃除してくれている。
手に持っている箱を今陸が教えてくれた場所へと置こうと私は背伸びをする。

「姉さん、あまり無茶しないで。届かない場所だったら俺がしまうから」
「もう、陸は心配し過ぎだよ。大丈夫だって…わっ」
「姉さん!」

あとちょっとで棚に箱を置くことが出来るというところで、私はバランスを崩してしまった。私を呼ぶ陸の声が何だか遠くに聞こえて、ああこのままだと思い切り頭ぶつけちゃって痛いだろうな、なんてぼんやり考えていた。
だけど、いつまで経っても痛みは感じなかった。その代わりに背中に感じたのは――あたたかな温もりだった。

「…これ以上俺の寿命を縮めないでくれよ、姉さん」
「えっ…陸!?」

私の下に、陸がいた。私が倒れる直前に、陸が後ろに回って私の身体を受け止めていてくれたのだということに、私は漸く気が付いた。

「無茶しないで、って今言ったばかりだよね?全く姉さんは人の話を聞かないんだから」
「…ごめんなさい」
「まあ、怪我がなかったから良かったけどさ」

私の背後でほっとしたように陸が息を吐いたのが分かり、また心配を掛けてしまったことに申し訳ない気持ちになる。

「本当にごめんね、陸」
「次からは俺に言って。俺を頼って。姉さんの為なら俺は何だってするんだから」
「ありがとう…あっ、ごめん!重かったでしょ、今退くから」

いつまでも陸の上に乗っているのも悪いと思い、私は上体を起こそうとする。しかし、それは陸の逞しい腕に強く抱きしめられることによって阻まれた。

「駄目」
「え…」
「俺を心配させたお仕置きだよ」

そのまま陸が私の唇を塞いでしまったから、私は何も返事が出来なかった。二度、三度と私達はキスを交わした。キスから温かい陸の想いが伝わって来て、私の心は幸せで満たされる。

「陸」
「何、姉さん」
「大好き」
「…俺も、姉さんが大好きだよ」

そうして、互いに微笑い合う。私は陸が好きで、陸も私を好きでいてくれる…何て幸せなんだろう。

この後、沙那と加奈が一部始終を覗いていたことが発覚し、私も陸も恥ずかしくてどうしようもなくなったことは…ここでは述べないでおこう。



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勢い余って書いてしまいました^q^翡翠の雫から陸×珠洲です。タイトルは恋したくなるお題様からお借りしました。
現段階で翡翠の最萌えCPです。ルートやってて何度床叩いたことか…ラストは特にヤバかったです(笑)
陸が珠洲を凄く好きなとことか、互いが何よりも大切だというところが堪りませんでした。ED後はいちゃいちゃしつつ、沙那や加奈に見付かって盛大に恥ずかしがれば萌えるなと思ったりしています。





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