Call your name

「失礼します。プリント持ってきました」
「おーいつもご苦労さん」

準備室のドアが開く音と同時に、檜山が入って来て授業で出した宿題プリントを俺に手渡した。そして俺の机の上に積まれた資料を見付けると

「先生一人だと大変ですよね?私手伝います」

と言って、準備室の隅から椅子を持ってきて俺の隣に座ると、置いてあった資料を一部ずつまとめてホチキスで綴じ始めた。ふと、その横顔に触れたくなった。

以前の俺ならこんなことは思わなかっただろう。檜山のことは他の生徒より気に入っていたのは事実だけれど、触れたい、だなんて考えたこともなかった。
でも、今そう思ってしまうのは――俺達の関係が変化したからだ。教師と生徒から恋人同士へ。好きな相手に対して触れたい、とかキスしたい、と思うのはまあ、当然のことだよな。

そんな風に誰に言う訳でもないのに心の中で言い訳をしてみたりする俺の心境に全く気付かず、檜山は集中しているのか黙々と資料を綴じ続けている。
こいつのこういう一生懸命だとか一途なところが好きなんだが…学校の中とはいえ折角二人きりになれたんだ、もっとこっちを見て欲しいと思うのも仕方ないだろう?

我ながら子供っぽい考えだと心の中で苦笑しつつも、どうやったら檜山の意識を俺に向けることが出来るのか考えて…ある一つの作戦を思い付いた。
檜山の方を向き、頬杖を付くと――俺はそれを実行すべく、口を開いた。

「なあ…柚」
「えっ!?」

その瞬間、檜山は手に持っていた資料を全て床に落とし――真っ赤に染まった顔で俺の方を向いた。
見事作戦は成功したが、どうやら俺の理性はもう限界のようだ…うん、全部可愛過ぎるこいつが悪い。



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勢いで書いてしまいました(笑)、マイカレから時雨先生×柚ちゃんです。乙女ゲームではありませんが、マイカレは主人公と相手のキャラがはっきりしているので、ずっと話書きたいと思ってたんです。これからちょっとずつ増やして行けたらなと…マイナーなのが少し寂しいですが。
しかし、時雨先生別人になった感が否めないなぁ…マイカレで一番好きなのに難しいですね(苦笑)





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