大事にしたいんだ

「琥太にぃ、いるー?」

陽日先生のお説教から逃げてきた僕は、少しの間匿ってもらおうと思い、保健室のドアを開けた。

「あれ、いない……あっ」

保健室には琥太にぃの姿はなく、その代わりに…ソファーにもたれかかって転寝をしている月子がいた。

あまりにも無防備な彼女の姿に、僕は溜息を吐く。僕の前だけでこういう姿を見せてくれるのなら全然構わないんだけど、いつ誰が来るか分からないような場所でこんなことをされると、こっちとしては物凄く心臓に悪い。
もっと警戒心とかそういうものを持って欲しいと常々思ってるんだけど……本当に困ったお姫様だ。

僕は月子の隣に腰を下ろし、起こさないようにそっと頬に触れた。今までだったらこういう時に迷わずキスの一つでもしていた筈なんだけど、何故か月子にはそうすることが出来ないでいた。

それはきっと――僕が自分で思っている以上に月子との関係を大事に育みたいと感じているからなんだろう。まるで子供の恋のように一歩ずつゆっくりとなんて、僕の柄じゃないけど、こういうのも悪くないんじゃないかって思えるようになったんだ。



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拍手お礼として置いていた郁月です。月子にだけはなかなか手を出せず臆病になってしまうような郁が好きですね。





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