恋人の特権

「月子捕まえた」
「わっ」

後ろからそっと抱きしめると、月子は一旦硬直した後、顔を真っ赤にして俺の腕から逃れるように身体を動かす。それを制するように俺は抱きしめる腕に力を入れる。

「ど、どうしたの錫也」
「お前を抱きしめたかったから抱きしめた。それだけじゃ駄目なの?」

抱きしめる理由を問う月子に、俺は耳元で囁くように答えを返す。すると月子は真っ赤な顔を更に紅くして、すっかり大人しくなった。

こういう恋人らしい行為ひとつひとつに、月子はいつも恥ずかしがる反応を見せる。そんな姿もとても可愛いのだけど、もう少し慣れて欲しいと思うのも本音ではある。

だけど、こうして月子を恥ずかしがらせることが出来るのは恋人である俺の特権なんだと思うと――これはこれで悪くないのかもしれないな。



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ハグの日ネタ第2弾は錫月にしてみました。いつまで経っても月子は錫也に敵わなそうですね。あと錫也は凄く甘やかしそう(笑)





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