▽ハートのクルーは船長命令で下の毛を剃ってそう、という話から生まれた
▽酷い下ネタ



「……ぺ、べんぎん、さん…?」
「………」
「あ、あの、その、」

ペンギンさんと付き合い始めて早数ヶ月。
経験がなかった私に合わせてゆっくりゆっくり、時間を過ごしてくれた。
戦闘も最近なく、比較的穏やかな日々が続いていて、部屋でふたり過ごしていたらそういう雰囲気になって。

よくわからないままペンギンさんに全て委ね、服を脱がされていくと、ぴた、とペンギンさんが動きを止めた。

まさか、私の身体は、どこか、他の人と違うんだろうか。
他の人の身体をまじまじと見たことはないけどそうなのかもしれない。
だから、こんな風にペンギンさんも、……。

どうしよう。どうしようどうしようどうしよう。
折角、好きになって貰えたのに。
ぶわりと涙が溢れて、ベッドのシーツを手繰り寄せた。

「……ごめんなさい、」
「…………いや、違うんだヘレン、お前に言わなかった俺たちが…そもそも言えるはずなかったんだが」
「で、でも、だって、わたし、」
「とにかく聞いてくれ」
「……は、はい」
「うちの船では、船長命令というか、…衛生面的な問題で、その、」

言い淀むペンギンさんをじっと見続けていると、さっと視線が逸らされ、いつもより小さい声で、彼は呟く。

「……下の毛をな、剃ることになってるんだ」
「……………え」
「……」
「……」
「……」
「……………あ、の、それってつまり、私、何ヶ月も、船長命令に違反してたってことですか」
「気にするところはそこじゃないと思うぞ」
「でも、あの……そ、剃り方、なんて」

知っているはずもない。
そもそも、そんなことするなんて、思い付きもしなかったんだから。

「……ヘレン」
「は、い」
「………嫌じゃなかったら、」
「……は、い」
「…………察してくれ」
「………………はい」

察してくれ、とは、そういうことを、ペンギンさんが。
本当はそんなこと、させられない。
だけど、船長命令だし、自分では、勝手が、わからないし、その、でも、そんなこと、ペンギンさんに、なんて、でも、どうしよう、どうすればいいんだろう。
シーツをぎゅっと掴んで、ペンギンさんを伺うも、ペンギンさんも相当参っていた。

「……どうする、ヘレン」

ペンギンさんの優しい手が私の髪を撫でる。
それから耳を撫でて、頬を撫でて。
顔を俯かせながら、私はこう言うしかなかった。

「さ、…察して、ください」

ペンギンさんと私、ふたりして顔を赤くして、結局暫くは、その体勢のまま、動くことは出来なかった。



ふたりの防戦


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