「…お前、まだ寝てねぇのか」 「……え、えへ」 扉が開いて、慌てて枕元に本を隠したが、まあばれてるんだろうな。 「だって熱いのに寒いし、寝れないんですよー」 風邪、ではないと思う。 かと言って疲れの様な気もしないし、まあただ熱が出て、関節がちょっと痛いくらい。 それでも医者(外科医だけど)が船長なだけあって、普段通りにすることは許してくれなかった。 「俺は医者だ」 「はい、存じてます」 「つまり、人の急所を知ってる」 「…はい、それはもうよく知ってます」 「今すぐ意識を飛ばされるのと、自分で寝るの、どっちか選ばせてやる」 「寝ます」 そんなの選ばせる気ないくせに。 頭までぽすんと布団をかぶる。 でも熱くて結局顔を出した。 「船長」 「何だ」 「…いつまで、いてくれます?」 「お前が起きるまで」 「……へ」 「お前がさっさと寝て、さっさと起きるまでいてやる」 「…船長、病人には優しいんですね……」 何でかわからないけど涙腺が緩みそうになった。 「………ねます」 「そうしろ」 大人しく目を閉じると、すっと、いつになく簡単に視界が溶けていく。 あ、これが船長効果か、なんて口に出すことはせず、そのまま、ぐっすり眠ってしまった。 起きたらどちら? ********** 何だか「寝ろ」って言うローさんを良く書いている |