REVIEW


記念すべき(?)第1回目の恋指南−‥
それは、粘り勝ちに持ち込んだリーシャに軍配が上がった。
その翌日―‥

「リリィ! リリィ!!」

「リーシャ? どうしたの?
 そんなに嬉しそうな顔して。
 何か良いことでもあった?」

「あった あった! 大ありだよーっ!
 リリィ、ありがとう!!」

「え、私?」

「うん!
 ゴーシュの照れた顔、初めて見た!
 もう嬉しくって」

「ああ、あれね。
 上手くいって良かったわね」

「うん、リリィのおかげだよ」

顔を真っ赤にして喜ぶリーシャ。
それとは対照的に、リリィは冷めた様子で己の感想を述べ始める。


「まさか、一度にあんなに何度も仕掛けるとは思わなかったけど」


「うっ‥」

「‥ま。
 相手が あの ゴーシュさんだから、ね。
 成功したんだからこの際 細かいことは無しでいいわ」

「細かいことって?」

「そのまんま、細かいこと よ。
 ‥‥って事で!」

「‥‥え。」

そこで、リリィは振り返って、口元に人差し指を立てながら にっこりと笑った。


「 はいっ ちゅーもく!
  恋に悩めるお嬢さん方!
  2秒後の笑顔 の わんぽいんと・あどばいす☆
  一度失敗したら、その場は潔く諦めて再チャレンジは次回に持ち越すようにしましょっ♪
  リーシャみたいに、しつこく何度も続けてやらないように!
  効果発揮どころか、怪しくなるだけだからねっ☆ 」


「!?!」

「‥‥という事。」

言い終えて向き直ると、リーシャが抗議の声を上げる。

「リリィのいぢわるーっ!」

「なぁに、今更。
 最初に言ったじゃない。肝心なことは自分でしなさいって」

「だから言われた通りちゃんと実行したじゃないっっ」


「言われた通り、でしょ?
 人に頼ってばっかりじゃ何の意味も成さない とも、ちゃんと言ったはずよ。
 私が言ったことを、何も考えずに そのまんま 実行しただけじゃない。違うの?」


「うっ」

再び言葉につまるリーシャに、リリィの追い撃ちが容赦無く襲いかかった。


「だいたい、一度に何度も何度も繰り返してやれば良いってものじゃないことくらい ちょっと考えれば解ることでしょうが。
 こんな事、わざわざ補足するのも面倒だわ。
 相手は歴とした一個たる人間で、ロボットじゃないのよ?
 なんでもかんでもマニュアル通り鵜呑みにしてその通り実行すればいいってもんじゃないわよ」


「だったら最初にそう言ってよ‥」

「私、お手伝いしてあげる と言ったわよね?」

「そ、そうだけど‥‥」

「お手伝い するからには、ちゃんと協力するしフォローもするわよ。
 でも、お手伝い は あくまでもお手伝いなだけよ」

「‥どういう意味?」


「そんな、手伝いを丸頼りにして 付け焼き刃的 で満足するのなら、相手は私でなくて書物でも十分に事足りるでしょ、ってこと。
 しなーず にでも行って 小悪魔テクニックの恋愛マニュアル でも買ってくればいいんじゃない?
 にわか仕込みの付け焼き刃なら、誰にだって即席で付けられるわ。
 すぐにボロが出るだろうけどね」


「‥‥‥。」

「意味、解った?」

「うん‥‥」

「そう。よかった。」

リーシャがすっかり意気消沈してしまったのは見てとれて解るのだが。
そんなことには一向お構いなしのようだ。

「‥‥で。
 続けるの? 止めるの?」

「え?」

「え? ‥じゃないわよ。
 お手伝いしてあげるって言ったでしょ。
 このまま続けるのか 止めて書物買うのか、どっちにするのよ。
 書物買うのなら、使えそうな書籍 数冊 紹介するけど?」

「‥続けてくれるの?」

「‥‥‥何よ、その弱気。
 いいわ、やる気無いならもう終わり」

リリィがくるりと背を向けて歩き出す。

「ま、待って!!
 続ける! 続けます!!
 だから待ってっっ」

‥と、リーシャがそれを俄然として引き留めた。

「はいはい。そう来ると思ったわよ。
 今日の夕方、空いてるでしょ?
 準備してあるから、お仕事終わったら私の家に集合ね。
 持ち物は、可愛いハンカチ ね」

「リリィ‥!」

「返事は?」

「はいっっ 解りました!
 ありがとう、リリィ!!」

「はいはい」

今回は私がお膳立てしてあげたんだから、ちゃんとしっかりやんなさいよ―‥
そんなことを思うリリィの内心に、リーシャが気付くことはなかった。



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