今日は、リーシャのお家でお茶をごちそうになっている。
リーシャってば、わざわざ私の大好きなロサの華茶を用意してくれたりまでして。
女の子同士、二人で優雅に乙女のティータイム。

そんな中。
ふと気がつけば、リーシャが私の方を じっ‥ と見つめていた。
ティーカップを傾けながら、何だろう? と思っていると‥

「ねえ、どうしたら胸は大きくなると思う?」

「ぶっ‥」

彼女の唐突な問い掛けに、思わず飲んでいた紅茶を吹いてしまった。

「‥リリィ、大丈夫?」

涙目になりながら けほけほと噎せ返っていると、困惑したようなリーシャの声。

「リーシャ、また突然どうしたのよ?」

「んー、私の胸は小さいなと思っただけ。
 リリィは大きいから羨ましいな」

そう言って、彼女は人差し指をくわえる素振りをする。
まったく、この娘は‥‥。

「大きいのも、どうかと思うわよ。
 重くて肩凝りになるし。邪魔で動きづらいし。
 ほどほどにあるのが一番よ」

溜め息まじりに答えると、そうなんだー と平淡な返事。
ちょっと リーシャ‥それ、棒読みでしょ?

「私が逆に聞きたいくらい。
 どうやったら、胸を小さくできるのよ?」

「ごめんなさい。もう訊かないです」

呆れてちょっと いぢわる を言ってみると、途端に丸投げ。
‥もう。真剣に悩んでるのか単なる羨望なのか解りゃしない。

「そうねぇ‥
 ‥好きな人に触ってもらうと大きくなる、とかはよく聞くけど‥。」

‥言っているこっちが恥ずかしいわ。


「それ、絶対嘘だよ!
 私いつも胸揉まれてるのに、ちっとも大きくならないもん」


  なっ、なん!?!


リーシャの爆弾発言に、またしてもはしたなく紅茶を吹いてしまった。

「いつも揉ま‥っ
 ‥って、ちょっと、リーシャ!
 何てこと‥‥っ」

ぼむ!っと頭の中に浮かぶ、親友とその恋人のベッド・シーン。
こっ‥これは 恥ずかしいっっ
聞いてるこっちが恥ずかしい!!!

「リリィ、何想像してるの?」

「もう、そうじゃなくて!
 ゴーシュさんが何か不満でも言ったの?」

慌てて体裁を立て直し、質問を投げる形で畳み掛ける。
この娘がここまで突っ込んで話してくるってことは、絶対に何か思うところがあるはずだ。

「ううん。何も言ってないよ。
 可愛いと言ってくれるし。
 ‥でも、男の人は小さいより大きい胸がいいらしいって、この前ハチノスの女の子達が言ってたよ?」


  ‥‥‥なんだ。
  雀の噂を気にしてるだけか。
  びっくりした‥‥。


「それは、単なる彼女たちの噂話でしょ?
 ゴーシュさんが可愛いって言ってくれてるのなら、無理に大きくしようとしなくてもいいと私は思うけど?」

私がそう言っても、リーシャは腑に落ちていない渋い顔しかしない。
ゴーシュさんに 小さい とでも言われたのかと思えば、悩みの種は 喧しい雌鳥の鳴き比べ‥
‥‥もう、余計なこと吹き込まないでほしいわ。

「まったく‥‥。
 そこまで気になるのなら、直接ゴーシュさんに聞いてみればいいじゃない。
 私に聞くより、よっぽど確かでしょう?」

「うん、そうする」

納得いかないのなら、直に本人に聞け。
そう言えば、あっさりと首を縦に振った。やれやれ、これで落ち着いてお茶が飲める。
‥と思った瞬間。
再度、リーシャの爆弾発言が炸裂した。


「ところで、リリィはジギーに胸揉まれてるの?」


  なっ‥‥‥
  なんですってぇええぇっ!!?!


「 ジギーはそんなことしないわよっ! 」

「ええー! 嘘だー!」

つい大きな声で否定すると、負けじとした声音が帰ってくる。
もう、この娘なんとかしてっっ

「抱きしめられたときとか抱きついたときに、体勢的にジギーにあたっちゃうことはあるけど‥っ
 その、揉んだりだなんて‥」

ジギーの名誉(?)のためにも、ここはちゃんと事実無根を証明しておかなければっっ
そう思っての、必死の弁明。
けど、目の前には それ をにやにやと笑いながら聞いているリーシャがいた‥。


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