「‥じゃあ、さっそくだけど、彼の性格と好み、現在の状況を教えてくれる?」

じゃあ、お手伝いしたげる――
リーシャの“お願い”を承諾するや否や、早々にリリィはリーシャに 意中の彼 の事を聞き始めた。

「性格と好みと状況?」

「うん。
 彼の性格と、好きなものの傾向、現段階でリーシャが彼の中でどれくらいの位置にいるのか、が把握できなきゃ、アドバイスするにも仕様がないから。
 今、彼とはどんな関係なの?」

「んっとね‥
 挨拶とかはちゃんとするし、笑顔で話したりもしてくれる。
 個人的な話とかもするかなぁ。
 あ、配達帰りに待っててくれたこともあるよ。」

「二人で遊びに行ったりとかはしてる?」

「ううん。そういうのは、全然ない。」

「そう‥解った。
 じゃあ、リーシャが思う、彼の性格は?」

「人当たりが良い感じ、かな。
 穏やかで、優しくて。」

「穏やかで優しい男性、ね。」
「自分の事より人の事を優先する人なの。
 あとあと、物腰が柔らかくて、誰に対しても丁寧で、笑顔がすっごく素敵で‥っ」

「‥はいはい、解った解った。」

拍車が掛かり始めたリーシャを制し、ゴーシュの基礎データ を採取する。

「‥で、彼の好みは?
 好きな色とか、好きな香り、好きな場所や好きな雰囲気とか。」

「‥‥‥」

「‥リーシャ?」

「‥解んない‥‥」

「は!?!」

「いや、だから、解んない。」

左手で額を押さえながら、どっと脱力するリリィ。

「‥あんたって娘は‥‥‥」

「‥‥、リリィ?」

「宿題っっ!!
 次回までに ゴーシュ・スエードの好きなもの を何でもいいからたくさんリサーチしときなさいっ!!」

「へ!?!」

「へ!?! ‥じゃないっ!!
 好きな人の好みを探るのは基本中の基本!!
 そんなんでどうやって彼のプライベートな部分にまでお近づきになるつもりよ!!?!
 まずは彼の心の中にあなたの存在を残さなきゃ、動くものも動かないんだからねっっ
 解った!?!」

「はいっっ 解りましたっ!!!」
「‥よろしい。
 次回までに、出来る限りでいいからちゃんと調べとくのよ?」

「‥‥でも、どうやって‥?」

「‥‥‥リーシャ」

「はいっ ごめんなさいっっ
 自分で考えます!!!!」


本当に大丈夫かしら‥―
そんな薄霧のような憂いが、リリィの胸をよぎったまま、恋のレッスンは始まった。



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