君の抱えてきた気泡の中に
僕の酸素など入っていないが
君の抱えてゆく気泡の中に
僕の二酸化炭素がはいってゆくならなあ

君と僕との組み合わせは
六十億の二乗マイナス六十億分の一にしか過ぎず
君が僕に向けた笑顔は
君の人生の何億分の一秒か知らない
ただせめて僕はそれを忘れぬよう
今日もカシュクール毛布を抱いて
瞼の裏へと参ります

君の残像を携えて。
おやすみなさい。

僕は君が欲しかったけれど
君は僕を欲していなかったようなので
おかげで僕はひどくすかすかになり
果てにはまぶたも腫れました
僕の願いは簡単なことです
人が生活する中で得るさまざまな知識や 記憶を各々ひとつの気泡にたとえるとして
君のそれに僕が少しでも加わればいいと
気づいて欲しいと思ったんです
酸素がだめなら二酸化炭素を、
今後君が抱えていくであろう記憶の中に、
ひとつの毒素を、
吹き込んでやろうと思ったんです。
ごめんなさい。
好きでした。

僕の吹き込んだ酸素がやがて、君の血肉と結合し、骨を作り体を支え、再び咽喉から外へ出てくるその日まで。

今日もカシュクール毛布を抱いてねむります。
おやすみなさい。
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