ベタな始まり、
突然の出逢い








「出逢いは突然やって来る。」



電波ちゃんな友達が久々にまともなことを言っているのを聞いた。その時は軽く流したが、よくよく考えてみればあながち間違ってはいないと思う。

少女マンガでも角を曲がったら「あっ。」だとか、転校してきて「あっ。」だとか…。ベタだか突然の出逢いだ。

と、思っても恋には全く興味がない私。彼氏は当然のことながらいたことがないし、初恋すらまだである。
「なんで??」とよく聞かれるがその答えは決まっていつも「トキメかないから。」である。恋をしなくたって十分今を楽しんでいるし、第一、男なんかに自分の時間を奪われたくないと言うのが正直な所だった。そもそも男勝りな私に近寄る男がいない。


まぁ…それはそれでいいんだけど。





「まお。何ぼぉっとしてんの??もしかして私が言ったこと気にしてる感じ??」


電波ちゃんな友達、みかがまおを覗き込む。言ったことというのは「出逢いは突然やって来る。」のことであり、それを気にしてないと言えば嘘になる。さっきまで無駄に色々考えていたし、それにしてもみかはなんでいきなりそんなことを言ったのだろう。気になった私はみかに尋ねようとするが、みかはすでに私の前にも教室にすらいなかった。


『…もういないし。』


再び机に伏せる。がやがやと昼休み特有の雑音が耳に入ってくる。昼食はまだだがお腹はすいていない。次の授業は楽な授業。このまま寝てしまおうと目をつむる。最初は煩わしく感じた雑音もだんだん遠くに聞こえていった。





何分、何時間たったのだろうか。日の光が背中に当たった部分だけ妙に暖かかった。その暖かい温もりに再び意識を飛ばそうとするとぽすっと頭の上に誰かの手が乗ったのがわかった。

みかの手にしては大きすぎるし、男の手のようだ。しかし、まおには頭を撫でられるほど親しい男子はいない。顔を机の上に伏せたまま寝ぼけた頭をフル回転させて考えたが、検討がつかなかった。そのうちその手はまおの頭から離れ、次は机の上に垂れている毛先で遊び始めた。少しくすぐったくなり不自然じゃないように首をすぼめるとピタッとその手が止まった。


「まお…。」


少し掠れてて低くて体に響く男の声がまおの名を呼び再びまおの毛先を弄り始めた。なぜこの男は私の名前を知っているのだろう。クラスの男子の中にこんな低音ボイスの持ち主なんていなかったはず、ドキドキし始めた心臓が私の脳に顔をあげろと命令するが体は力が抜けたように動かなかった。







「まお…逢いたかった。」






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