プロローグ







突然私の前に現れたあなた。

なぜあなたは私の前に現れたの??
なぜあなたは私と一緒にいるの??
なぜあなたは私を守ると言ってくれるの??


なぜ私はあなたに恋をしてしまったの――…??





少し遠くで目覚まし時計の音がする。俺を呼んでいるようだ。うっすらと重いまぶたを開くと開けっぱなしのカーテンから眩しい光がそそいでいた。

2、3度まばたきをしたあと、時計に目をやる。まだ7時15分、いつもならあと15分は寝てる。しかし、今日はもう寝てられない。温もりが残った布団から出て、用意しておいた洋服に腕を通す。顔を洗うとさっぱりした。少し冷たい水が逆に良い。
簡単に朝食を取り、髪をセットし準備は整った。家を出る前にもう一度鏡を見る。とりあえず可笑しいところはない。「よし。」と気合いを入れて駐輪場に向かいバイクにまたがる。前かごに入れたままのヘルメットをゆるくかぶり出発する。

桜並木の綺麗な道を颯爽と走る。頬を掠める風が気持ちよく心が落ち着く。
今日は大学の入学式。サークルのビラ配りにも力が入る。特に俺ら2年生はこき使われる。

昨日、サークル仲間と話していた事を思い出して笑う。「可愛い子入るといいな。」「年下彼女かぁ…いいかも。」などと、期待に胸を膨らましていた。

赤信号で止まっている車の間を抜けて車より少し前に出て止まると、横断歩道を渡っているブレザーの高校生の女の子が目に入る。肩まである綺麗な黒髪、制服の短すぎないスカートから伸びる小麦色の足、騒音に混じってかすかに聞こえる彼女の話し声。実際騒音なんて気にならなかったが。彼女のすべてが俺の心に焼き付いた。


「うわっ…可愛い。」


無意識に呟いた俺の声は隣に止まっている車のエンジン音で消えた。

隣の車が動き出して信号が青になっている事に気づく。慌てて出発させるが、それが間違いだったらしい。どこかで聞こえる「危ない!!」と言う声にハッとなって左を振り向くと信号無視で突っ込んでくるトラック。それに俺は撥ね飛ばされてしまった。
少しの間宙に浮いて、思い切り地面に叩きつけられる。頭から出血してるらしい、生暖かい感じが頭の方に広がる。しかし、ぼんやりと意識はある。知らない人が俺に駆け寄り声をかける。返事をしようとするが、その人に焦点が合わず、声も出ない、体を動かすなどもっと無理だった。
返事をするのを諦めて目をつむると遠くの方から救急車が近づいてくる音がした。


あぁ…眠くなってきちゃったや。


俺はそのまま暗い意識の底に落ちていった。





プロローグEND


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